株式会社カヤック

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企業情報

株式会社カヤック
企業名
株式会社カヤック
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所在地
神奈川県
社員数
270名(単体)(時点:2023年12月時点)
業種
情報通信業

取組事例

取組の目的
・「面白法人カヤック」を名乗っている通り、「面白法人」であることに自社のルーツ、パーパスがある。主体的で創造的な、「なんでも面白がる」というスタンスの従業員が、物やサービスを創造的につくりだし社会に貢献する、という状態に向かって活動している。
取組の概要
○主な取組内容
・①「面白指数」の測定による現状確認や、企業文化を体現する、②ブレインストーミングの実施、③評価報酬制度の整備と運用、④エピソード共有による行動の促進、組織構造の工夫等に取り組んでいる。

①「面白指数」の測定
・世の中的にはつまらないとされているような仕事も、どうすれば効率的にできるか、面白い形にできるか、と工夫することも「面白がる」の在り方であり、自社で大切にしている概念である。
・従業員に対して「あなたは面白く働けていますか?」という質問に11段階評価で定期的に回答してもらう。企業理念である「面白法人」を従業員が体現できているかを確認するために、2015年に測定を開始。2024年9月現在では四半期に一度の頻度で質問し「面白指数」を測定している。従業員エンゲージメント等と似た概念ではあるが、他社との比較を目的としておらず、従業員が「自分は面白法人を体現できているか」と内省することを重視し、自社の経年推移を把握している。
・面白指数は、NPS(Net Promoter Score)を応用して算出している。従業員のなかで「面白がる」が実現できている時期は業績が良いという肌感覚があり、事業上の成績とある程度相関があるのではないかと考えている。
・面白指数は自社のサステナビリティ関連項目と紐付く指標として位置づけており、企業成長につながるインパクトがあるものと捉えている。

②ブレスト(ブレインストーミング)の実施
・短時間でアイディアを自由に出すブレストを頻繁に実施している。平均して2日に1回は、従業員はブレストに参加していると思われる。
・年に2回程度実施する「ぜんいん社長合宿」では、従業員全員が社長になったつもりで会社のビジョンや制度についてブレストを繰り返しながら考える。例えばブレストによって「感謝にあふれた会社にしたい」というアイディアが出れば、次は「感謝にあふれる会社にするには何をすればよいか?」というテーマでブレストを行う。これがきっかけで、実際に会議室の名前を様々な言語の「ありがとう」に変更するという施策が実施された。
・経営会議で業績悪化やトラブルについて扱う際も、深刻な心情でいると視野が狭くなりやすいため、あえてブレストを行う。

③企業文化を体現する評価報酬制度
・評価制度は、評価自体が価値観をつくるという考え方のもと設計・実施されている。自社では「ぜんいん人事部」と称して従業員全員が採用と育成にコミットしている。
・「360度フィードバック」は仲間の成長に貢献するという位置づけで実施しており、システム上指定された2名と、被評価者が指名する人4名ほどに評価してもらう。被評価者は評価者に対して「評価が自分の成長にどれくらい役立ったか?」という質問項目に回答する。これらの評価結果はすべて全社に公開されている。
・「月給ランキング」では、従業員全員が社長になったつもりで普段一緒に働いている人を評価する。統計処理を行いランキング化し、それに従って報酬を決める。
・「サイコロ給」では、従業員が毎月サイコロを振り、その出目に応じて基本給にプラスアルファの金額を支給する。一般論として評価制度があるとどうしても他者からの評価を気にしがちになるが、運次第であるサイコロ給を報酬の一部に取り入れることによって「人の評価はそんなもの、囚われてはいけない」というカルチャーを体現している。

④エピソードの共有
・創業以来、窮地に立たされたプロジェクトを従業員が救った、といった仕事における印象的なエピソードをブログとして社内に共有している。エピソードのうち特徴的なものは、「ぜんいん社長合宿」で声優によって朗読されたり、漫画化されて社外へ公開されたりする。
・自社にとって望ましい行動を規則の形にしても、社風になりにくいと考えている。エピソードの形で従業員の目に触れてもらうことで、「こういう風になりたい」と行動が促進される。

⑤「面白がる」を可能にする組織構造
・部や課といった階層構造があまりなく、「上司」という感覚もそこまで強くない。アイディアが浮かべば仲間に「まずは簡単に試してみないか?」と声をかけ、やってみて、試行結果が良ければ新サービスにつながる。新規事業開発部があるわけでもなく、従業員が各々自分でやりたいことをやる環境がある。
・自社における言葉の使い方として、職能として「エンジニア」という呼称を使うことはあっても、基本的には「クリエイター」を使用している。作りたいものがある、内発的・自発的な人であることを表現する意図が込められている。「やりたいことがあることはとても良いことだ」という組織としてのスタンスが表れている。

○その他の取組
・特に優れたプロジェクトや業績を達成した従業員やチームに対して「カヤックアワード」として表彰する。従業員のなかで「あのプロジェクトが選ばれてほしい」という雰囲気もあり、表彰式は盛り上がり、チームとしての一体感が感じられる。
・人材育成を組織として体系的に実施しているわけではないが、変わることは成長することだと捉え、本人の手あげや周囲からの提案によって、分野間の行き来を活発にして様々な経験を積めるようにしている。例えば地方創生のプロジェクトにおいて、ゲームクリエイターは動機付けのスキルを活かし、広告に従事していた人は企画力を発揮するなど、多様な人材が集まることでユニークな価値を生み出している。
現状とこれまでの取組の効果
・「面白がる」という姿勢は良いときも悪いときも自分たちを助けてくれる。アイディアを活発に出せるようになる以外にも、どのような状況に対しても前向きかつポジティブに向き合えることが可能になり、従業員同士で一丸となって1つのものに取り組むことにつながる。
・ブレストを繰り返すことで従業員が日常的に新しいアイディアを考える力を鍛え、「面白がる」体質が育つ。また、ブレストでは従業員同士が互いのアイディアに乗り褒め合うことで、「つくる人を増やす」という会社の目指す姿の実現にもつながり、チームワークも向上する。
(R6.8)

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