株式会社トレンディ茨城
事例カテゴリ
- 所定外労働削減
- 年休取得促進
- 多様な正社員
- 朝型の働き方
- テレワーク
- 勤務間インターバル
- 選択的週休3日制
- ワークエンゲージメント
企業情報

企業名 |
株式会社トレンディ茨城
|
---|---|
所在地 |
茨城県
|
社員数 |
42名(連結含む)(時点:2024年9月時点)
|
業種 |
道路貨物運送業等
|
取組事例
取組の目的 |
・同社では、以前は人材育成が体系化されておらず、人材の育成や定着に課題感があった。具体的には、業務のマニュアルが無く新人社員に対しては「後ろ姿を見て学べ」という姿勢だったために、入社後に短期離職する例が度々存在した。こうした状況の改善のためには、従業員それぞれが自らの強みを活かして働きがいを持って働くこと、人材育成を体系化すること、働きやすい環境を構築することが重要と感じ、チーム制や多能工化といった取組を進めた。
・従業員数がそれほど多くはないことから、従業員一人ひとりが持つ力を存分に発揮し活躍するために、各従業員が強みを活かし、働きがいを感じながら働きやすい環境のなかで働くことが重要だと考えており、そうした状態の実現につながる制度を整備している。 |
---|---|
取組の概要 |
○主な取組内容
①従業員の強みを活かし伸ばすチーム別の人材育成・評価、②褒められる・認められることによる働きがいの向上、③働きやすい環境を叶える多能工化が同社の特徴である。 ①従業員の強みを活かし伸ばすチーム別の人材育成・評価 ・同社では、以前は人材育成が体系化されておらず、入社後に短期間で離職する例が度々存在したため、人材育成や定着に課題感を持っていた。当初は既存の組織の管理職が部下の育成に責任を持つ形として、管理職向けの研修等を実施したが、大きな効果は出なかった。 ・その後発想を転換し、所属部署とは別に、人材育成、車両管理、倉庫備品管理など、組織横断のテーマを扱うチームを編成し、従業員は所属部署とは別にチームにも所属する形をとった。従業員に対する1on1や人事評価面談は、各チームのリーダーがメンバーに対して実施する形をとるなど、各チームのリーダーが人材育成を担い、人事評価を行う形に変更した。所属部署の上長は、所属部署における業務を通じたフィードバックを行う等の役割分担をしている。 ・チーム編成のポイントは、(a)意欲が高く他の従業員を動機づけすることに長けている従業員をリーダーに任命すること、(b)各従業員の強みや課題を踏まえ、強みを活かし伸ばせるチームに配属することである。(a)については、チーム編成のタイミングでリーダー候補者に総務担当役員が面談を行い、適任の従業員をリーダーに任命した。役職ではなく適性を踏まえて任命をしたところ、多くのリーダーは主任・係長クラス(当時)から任命された。(b)については、従業員をチームに配属するタイミングで総務担当役員が各従業員と面談を行い、各従業員の強みや課題等を丁寧に聞き出したうえで、その強みを活かせるチームに配属している。具体的には、前職が対人サービス業など、人との関わりに強みを持つ従業員は人材育成チームに配属、車の運転技術に長けている従業員は車両管理チームに配属、備品在庫の変化によく気付く従業員は倉庫備品管理チームに配属するなどしている。 ・従来の組織と比べて少人数のチーム制となったことで、リーダーを中心に、従業員一人ひとりが自身の強みを活かして主体的に動くようになった。 ・毎年、年度のはじめに各チームの1年間の業務計画を社内に作成・公表し、実務を通じて各従業員が強みを伸ばし、成長できるようにしている。 ・リーダーのなかには主任・係長クラスから任命された者もいたため、マネジメントの経験を持たない従業員も多かった。こうした部分を補完するために、リーダーには面談や部下のマネジメントの方法等に関する研修を実施するなど、教育には力を入れている。 ・既存の部署での業務とチームからの業務の双方を実施することや、チームのリーダーの業務量の多さに対する不満等は特に従業員からは上がっていない。人材育成や人事評価の実施主体を、既存部署の役職者(主任、係長等)から完全にチームリーダーに移管したことで、もともと役職者として実施していた人事評価をチームリーダーとして実施することとなり業務量の単純な増加にはつながっていないこと、また各チーム内でも責任を委譲しリーダーに業務が集中する形にはなっていないことなどから、従業員の理解を得られていることが背景にあると考えられる。 ②褒められる・認められることによる働きがいの向上 ・チームによる活動を通じて従業員が習得した技術を社内に披露する発表会を毎年実施している。また、年に一度会社の全体会議で社内表彰を行っている。対象となるのは、車を燃費良く運転した従業員や、車をきれいに管理した従業員など、様々な賞を設けている。 ・技術の発表会で得意なことを披露することや、表彰を受けることで社内から褒められる・認められる機会となり、従業員にとって働きがいの向上につながっている。 ③働きやすい環境を叶える多能工化 ・同社では、1人の従業員が複数の業務を担当できる(例:ドライバーであっても、倉庫管理業務担当の従業員であっても、配送業務と倉庫管理業務の双方を担当できる)多能工化が進んでいる。 ・多能工化推進のキッカケは、約8年前に多数の従業員が感染症に罹患したため急遽休みとなり、業務が停滞したことである。これを機に抜本的な改善が必要だと判断し、ドライバーであっても倉庫管理業務であっても、配送業務・倉庫管理業務の双方を実施できるようにするなど従業員の多能工化を進めた。 ・多能工化により、休んでも他の従業員が代わりを務められるため休暇を取得しやすくなり、働きやすさが向上した。有給休暇取得率も多能工化により上昇し、3年前からは新たに独自の休暇制度として誕生月に特別休暇を取得できるようにして、さらなる働きやすさの向上につなげている。 ・多能工化に向けたスキルの取得は、会社からの一律での教育ではなく、現場での従業員の教え合いにより実施している。約8年前の業務停滞を経験した従業員は、身をもって多能工化の必要性を認識しているため、従業員自身が自主的に多能工化に前向きに取り組んでいる。また、最近入社した従業員にも多能工化の必要性は浸透しており、様々なスキルが身につくことは従業員から好意的に受け止められている。 ・同社では、上記の①~③など働きがいの向上を目的とした取組が効果を発揮しているか・改善すべきポイントは無いかを確認するために、2年前から従業員満足度調査を導入し、年に1回調査を実施している。 ・従業員からの正直な回答を促すため、無記名での回答としている。また詳細な調査結果は役員のみが確認し、従業員には開示していない。 ・調査結果は、各種取組が効果につながっているか把握するために活用している。従業員に対しては、調査結果を踏まえた施策の改善点を伝達している。 |
現状とこれまでの取組の効果 |
・課題だった「入社後の短期離職」に対しては、人材育成チームが入社直後の従業員には特に手厚く、体系的に業務を教えることで、従業員の定着率向上につながっている。例えば異業種からの転職者に対しては、教育担当として異業種からの転職者を配置することで、未経験者がよくつまずくポイントに寄り添うことができ、独り立ちをサポートしている。
・同社では、上記の取組とあわせて社会人基礎力の向上に向けた階層別研修等を実施した。こうした取組を通じて、グループ会社からの事業のほかにも他社から依頼が入るようになり、事業の拡大にもつながっている。 |
(R6.9)