株式会社ペンシル

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企業情報

株式会社ペンシル
企業名
株式会社ペンシル
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所在地
福岡県
社員数
140名(時点:2024年9月時点)
業種
情報通信業

取組事例

取組の目的
・WebコンサルティングなどのIT事業を展開する同社では、会社の成長とともに業務量が増加。特にコンサルタント職を中心に長時間労働が常態化し、離職増加の大きな原因となっていた。
・会社の中長期的な発展には、従業員一人ひとりが働きがいを持てる環境を整え、定着率を向上させることが重要であると考え、同社CEOを中心として、2011年頃から働きがいの向上に取り組んでいる。
・特定のプロダクトを持たないサービス業においては、スタッフの成長が会社の成長に直結するため、スタッフと企業は対等な関係で成長を考えていくべきであり、そのために、スタッフが十分に力を発揮できる会社環境を整えることが必要だと考えている。
・同社では、働きがいに影響する要因を「仕事の環境」、「仕事の内容」、「仕事におけるコミュニケーション」と定義し、特にコミュニケーションに重点を置いている。仕事環境や仕事内容は従業員個人ではコントロールしづらいが、コミュニケーションは意識的に改善できるためである。
・現在では、離職の主な原因だった長時間労働の是正をはじめ、従業員全員が個性や才能を発揮し、楽しく働けるように様々な施策を実施している。
取組の概要
○主な取組内容
・同社では、サーベイの実施や分業制・サテライトオフィスの導入、社内報の発信、多様性の推進、能力開発、キャリア形成支援等により、従業員一人ひとりが働きがいを持てる環境を整備している。

1 エンゲージメントサーベイ・ウェルビーイングサーベイの実施
・エンゲージメントサーベイは半期に1回、各組織の「通知表」という位置づけで、各組織の抱える課題を洗い出すために実施している。
・サーベイはD&I推進室主導で実施され、結果の分析や改善に向けたアクションプランの策定は各組織のマネージャーが担う。
・マネージャーによって策定されたアクションプランは、定期的に開催されるマネージャー会議のなかで進捗を管理され、半期後(次のエンゲージメントサーベイの実施タイミング)に達成度についての評価を行う。評価の結果は、メンバーにも共有される。
・働きがい向上の施策は部署ごとに企画・実施することを基本としているが、必要に応じて社長が分析や改善策立案の支援を行うほか、社内報を通じてマネージャー間で自分の部署の状況や取組の好事例を共有しあうなど、全社での支援も行っている。
・組織のモニタリングを目的としたエンゲージメントサーベイとは別に、従業員個人のモニタリングを目的としたウェルビーイングサーベイも月に1回実施している。
・問題があると判断された従業員に対しては、部門のマネージャーが面談の実施等の対応を行う。マネージャー層が適切に対応できるように、対応方法のガイドラインも提供している。

2 分業制の導入・サテライトオフィスの開設
・離職の主な原因だった長時間労働を是正するため、短時間労働の従業員(メイトスタッフ)による業務分担を導入している。
・分業制導入前からメイトスタッフは存在していたが、現場レベルで定型的な業務とそうでない業務の区別ができておらず、多くの業務がコンサルタント職に集中し、残業が常態化していた。
・そこで、分業の推進担当者を現場に派遣し、各部署に1週間程度密着させることで、第三者の視点から分業可能な業務を洗い出した。
・その結果、社内定例の資料作成やメールマガジンの原稿作成などの業務をメイトスタッフに任せられるようになり、コンサルタントの労働時間削減に成功した。
・分業制を中心とした業務効率化を推進するなかで、通勤時間の削減や雇用創出を目的としたサテライトオフィスの設置も行われた。
・サテライトオフィスは福岡県福岡市中央区・西区と長崎県壱岐島に設置され、主婦や高齢者など多様な人材が活躍している。

3 社内報による従業員間コミュニケーションの促進
・従来の全体会議や朝礼に加え、メッセージ共有の手段として、オンラインの社内報を月に20本ほど発信している。1本あたりA3用紙2枚分程度での長さで比較的情報量は多いが、ほとんどの従業員が閲覧している。
・D&I推進室が記事閲覧データを分析し、従業員のニーズに合わせて内容を選定している。各部門の業務内容や日々の業務での気づき・体験をシェアする記事や、代表が行動規範や想いを伝える記事など、掲載内容は多岐にわたる。
・各組織のエンゲージメントサーベイのスコアと社内報の閲覧数には一定の相関があることがわかっている。閲覧率の低さは、従業員が会社との距離感や何らかの課題を感じていることを反映していると捉え、必要に応じて改善策を講じている。

4 多様性と働きがい
・顧客ニーズの多様化に対応するためには、従業員も多様な視点を持つ必要があると考え、従業員全員が多様性を発揮できる環境作りを行っている。従業員一人ひとりが個性や能力を発揮できる環境を整備することで、従業員全員が働きがいを持って働くことができるようになる。
・働き方の多様性を考える社内イベントとして、「Diversity Week」を毎年5日間かけて実施している。直近では、LGBTQ+、外国人、障がい者、育休中の父親など、様々な立場の人々がどのような考えをもって働いているのかを知るために、ショートムービー視聴会やラジオ配信、擬似体験やボードゲームなどの体験型企画を行っている。

5 能力開発
・同社では、社内研修の実施に加え、資格検定の受検費用を補助することで、社員の資格取得へのモチベーションを高めている。
・資格を取得した従業員は、社内サイネージや社内報で紹介される。その結果、周囲の従業員はその姿に刺激を受け、自分も資格取得に挑戦しようという意欲が高まる。
・この「学ぶ風土」が職場に根付いた背景には、代表やマネージャーが自ら資格取得に挑戦し、模範を示してきたことがある。

6 キャリア形成支援
・個人のキャリアビジョンと会社のビジョンの融合を目指し、マネージャーが部下のキャリアプランを提案している。特に若手には具体的な成長ロードマップを作成し、1on1で上司とともに目標設定を行う。
・マネージャー層の指導力向上にも注力しており、社内でマネージャー向けの「管理指南書」を作成し、対応手順を詳しく設定している。
現状とこれまでの取組の効果
・働きがい向上の取組が効果を発揮し始めた実感を持つまでには、2年半から3年ほどの時間を要した。一朝一夕に効果が出るわけでもなく、経営陣の心が折れそうになることもあったが、粘り強く丁寧に取り組んできた成果が現れ始めていると考えている。
・半期ごとのエンゲージメントサーベイでは、偏差値が40から67に改善した。管理職者層に比べ、一般従業員の数値の改善が遅れていたが、最近は上昇傾向にある。働きがいに対する考え方や取り組みの浸透は、経営者のコミットメントから徐々にトップダウンで波及していった。
・組織が自発的に動くようになり、経営陣からのメッセージに対する受け止め方が改善した。スタッフによる自発的な研修企画が始まり、また、部署やチームの課題や改善点について自ら相談する従業員が増えるなど、ボトムアップの文化が根付いてきている。
・労働時間削減にもかかわらず、収益性が維持されている。
(R6.9)

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