日清食品ホールディングス株式会社
事例カテゴリ
- 所定外労働削減
- 年休取得促進
- 多様な正社員
- 朝型の働き方
- テレワーク
- 勤務間インターバル
- 選択的週休3日制
- ワークエンゲージメント
企業情報

企業名 |
日清食品ホールディングス株式会社
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所在地 |
大阪府
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社員数 |
16,509名(連結含む)(時点:2024年3月時点)
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業種 |
食料品製造・販売業
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取組事例
取組の目的 |
・社員一人ひとりが活き活きと働き、能力を発揮してもらうためにエンゲージメントを活用した取組を実施している。同社では近年キャリア入社者が増え、社員の多様性が増し、属性や思考、働き方も多様化している。また離職率の上昇やメンタルヘルスといった課題もあり、そうした状況を踏まえエンゲージメントに注目した取組に注力している。
・20年以上前から、社員に対するアンケート調査結果を基に「社員の働きがい」として社員の声の把握や経年比較を行ってきたが、取組と効果の関係が科学的に整理されていること、世界共通の尺度であるため他の組織との比較が可能であることから、2024年度からワークエンゲージメントの把握も開始した。 |
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取組の概要 |
○主な取組内容
①ワークエンゲージメントを活用した取組の導入、②「日清食品らしさ」の伝達・浸透、③仕事を楽しみ「やりたい人」を支援する工夫、が同社の特徴である。 ①ワークエンゲージメントを活用した取組の導入 ・同社では、20年以上前から従業員に対するアンケート調査(自己申告)の結果を基に「従業員の働きがい」として従業員の声の把握や経年比較を行ってきた。このアンケート調査は記名式であり、働きがいに関する設問のほかにもキャリアや異動に関する希望も調査していた。しかし、記名式アンケートでの従業員の本音把握に課題があったことや、独自に調査設計を行っていたため他社との数値比較が難しいこと等を踏まえて、ワークエンゲージメントを把握するためのアンケート調査(職場申告)を2024年度から新たに導入した。 ・「職場申告」は、職場や組織の改善・フィードバックを目的とした、匿名での調査である。(a)他社比較が可能であること、(b)グローバルでサービスが展開されていること、(c)実査から分析までの時間が早いこと(回答データが直ちに集計して表示される)、(d)設問を追加できることから、外部ツールを活用している。 ・「職場申告」の結果の活用の流れとして、(a)人事部開催のワークショップで管理職層が調査結果を共有・自らの部署の課題を特定、(b)部門内の管理職同士で課題を共有・アクションプランを作成、(c)管理職から部署のメンバーに対してアクションプランを共有、を予定している。 ・「職場申告」の導入に伴い、「自己申告」の位置づけも整理を行った。「自己申告」は従業員個人のキャリアや異動等に活用し、一方で「職場申告」は個人ではなくチームの状態把握と改善を目的として、現場のリーダーに結果を開示・フィードバックして対話を促している。 ②「日清食品らしさ」の伝達・浸透 ・キャリア入社者の増加により従業員の多様性が増すなかで、従業員が一体感を持って仕事をするために、また従業員による活動の拠り所とするために、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の浸透に注力している。浸透の程度は、「自己申告」の調査結果を基に「従業員のMVV共感度」として毎年測定している。さらに具体的な行動指針である「日清10則」も存在し、従業員による日々の判断や行動に日清食品らしさが反映されるようにしている。 ・浸透に向けて、ABC(Affect感情/Behavior行動/Cognition認知)を通した従業員の理解と納得を目指している。 ・例えば毎年8/25のチキンラーメン発売記念日には、従業員が小売店で実際にお客様に商品を販売する機会を設けている。消費者であるお客様と直接会う機会を通して、自社商品への誇りを実感してもらうことを意図している。 ・また、同社が特に重視する「クリエイティブであること」を実践し優れた功績を残した従業員は、年に一度「NISSIN CREATORS AWARD」で表彰している。商品開発部門など、クリエイティブであることがわかりやすい部門のみならず、営業部門や管理部門も対象としている。従業員投票も実施するため、自分たちの部門にとっては当たり前の取組が他部門から褒められることで、モチベーションや誇りにつながっているようだ。 ほかにも、自社商品をかたどった名刺や世界初の「ハードボイルドコミック社史」、理念の共有を目的としたすごろく型の研修資材の作成・活用、カップヌードルミュージアム横浜でのキャリア入社者研修等、様々な施策を実施している。MVVを言葉で伝えるだけでなく、従業員自身が身をもって体感できる機会を設定することで、日清食品らしさの本質を効果的に伝えることができると考えている。 ③仕事を楽しみ「やりたい人」を応援する工夫 ・その仕事を「できる人」よりも「やりたい人」の方が良い仕事をする、という経営の信念を踏まえ、人事異動に際して公募制度を非常に多く活用している。また、従業員に対しては希望するキャリアをつかみとるために自らのスキルを日々貪欲に高めてほしい、というメッセージを伝えている。 ・やりたい仕事をつかみとりたいという意志のある従業員に対して、会社として豊富な学びの機会を提供している。企業内大学の「NISSIN ACADEMY」では、選抜型プログラム、公開型プログラムを提供し、セールス、マーケティング、デジタル等に関する様々な知識を学ぶことができる。選抜型プログラムは半年~1年間と比較的長期間の講座が多いが、汎用スキルと業務に直結するような専門知識を学べることもあり、一部のコースでは応募者が定員を大きく上回るほど人気である。 |
現状とこれまでの取組の効果 |
・2024年度から、ワークエンゲージメントの測定と職場改善を目的とした「職場申告」を開始することで、匿名による正直な回答、各職場の改善、他社との比較が可能になると期待している。
・同社では、人的資本に関する取組をまとめた「Human Capital Report」を2024年3月に初めて発行した。当初は投資家を主な読み手として作成したものであったが、中途採用の面接でも応募者から「Human Capital Reportを読んだ」と言われることも非常に多い。社外に対して自社の考え方や取組について開示を行うことで、潜在的な従業員(応募者)にも同社のMVVが伝わり、企業と人とのマッチングにもつながっている。 |
(R6.9)