伊藤忠商事株式会社
事例カテゴリ
- 所定外労働削減
- 年休取得促進
- 多様な正社員
- 朝型の働き方
- テレワーク
- 勤務間インターバル
- 選択的週休3日制
- ワークエンゲージメント
企業情報

企業名 |
伊藤忠商事株式会社
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所在地 |
東京都
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社員数 |
4,098名(時点:2024年3月時点)
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業種 |
卸売業
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取組事例
取組の目的 |
・同社には、同業他社と比較して単体従業員数が少ないという特徴がある。「厳しくとも働きがいのある会社」という理念の下、「働きやすさ」ではなく、「働きがい」を追求することで、労働生産性の向上・企業価値の向上を目指している。
・「働きやすさ」を目的にするのではなく、「働きがい」を高めることが、会社の成長、世の中への貢献にもなると考え、重要な指標として捉えている。 |
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取組の概要 |
○主な取組内容
・同社では、エンゲージメントサーベイを始めとした各種サーベイの実施、朝型勤務の導入、キャリア形成支援等の多種多様な取組により、従業員の働きがい向上を目指している。 ① エンゲージメントサーベイの実施と現場へのフィードバック ・同社では、3~4年に1回の頻度で実施するエンゲージメントサーベイと、年1回の頻度で実施するスモールサーベイの2種類のサーベイを実施している。 ・エンゲージメントサーベイは実施し、2010年度から定点で観測しており、中期経営計画策定のサイクルに合わせる形で3~4年に1度、外部に対して総合スコアを公開している。一方、スモールサーベイの結果は外部に公開していない。 ・スコアは、社内の課題の抽出や改善のための指標としている。営業部門間のスコア比較、営業部門内の組織間の比較、属性別の分析等を通して、課題を抱えている部署や属性を洗い出している。 ・回答から個人を特定できないようにするため、配下組織のスコアの共有は5名以上で構成される組織を対象としている。 ・サーベイの実施・集計は全社の人事・総務部が担い、各営業部門の責任者・人事責任者へフィードバックを行う。各営業部門の責任者・人事責任者はスコアの報告を受けて、営業部門単位での改善策の立案・実施を担当する。必要に応じ、人事・総務部から各営業部門へ、全社データの提供や他の営業部門での取組状況に関する情報共有を行うこともある。 ② 朝型勤務制度 ・効率的な働き方を目指すべく、深夜残業を禁止し、早朝勤務を推奨する朝型勤務制度を導入している。 ・導入に当たっては、従来のフレックスタイム制度を廃止し、原則的な始業・終業時刻等を定める固定時間制度に戻すことが必要であったため、労働組合との粘り強い交渉が発生した。 ・従業員の意識改革促進のため、早朝勤務に対する同社独自の賃金の割り増しや会社負担による軽食の提供も行いながら、10年をかけて定着させた。 ③ がんと仕事の両立支援 ・がん闘病中の従業員が亡くなったことをきっかけに、2017年にがんと仕事の両立支援策を開始した。国立がん研究センターとも連携し、予防・治療の両面での支援対策を構築している。 ④ キャリアビジョンシート・キャリアマップの提示 ・年に1回全従業員が、「自身の強み」、「取得資格」、「これまでの職務経験」、「現在行っている仕事の経験年数」、「現在の仕事との適性」、「やりがいを感じること・やりがいを奪われること」等を記入したキャリアビジョンシートを作成する。シートへの記入内容を踏まえて、上司と部下との間で面談を実施することで、主体的なキャリア形成を支援している。 ・2024年度からは、新卒入社時に入社後8年間のキャリアプランイメージを提示し、一人ひとりに説明するという取組も実施している。 ⑤ チャレンジキャリア制度(公募制度) ・同社では、入社後、同一部門内での異動を通じてキャリアを積むことを原則としているが、チャレンジキャリア制度では部門を越えた異動が可能である。 ・公募は年に2回行われ、社内イントラサイトで募集部署が公開される。 ・新卒入社3年目以降の従業員が制度の対象であり、年間で十数名が制度を活用した異動を行っている。 ・当初は上長の承認無しに異動が可能な制度となっていたため、上長同士での人材の奪い合いが起こってしまっていた。現在は応募には上長の承認を必須としているが、本制度の利用希望が2回連続であった場合は、上司が反対しても制度の利用が可能な運用としている。 ⑥ 上司に関する多面観察 ・5名以上で構成される組織を対象に、部下による上長の評価を実施し、必要に応じて人事・総務部長等からの指導や、カウンセリングを行っている。 ・当該評価の結果が上長の業績評価に結びつくことはない。 ⑦ 従業員持株会制度 ・従業員の経営参画意識を向上し、中長期的な資産形成を支援するため、持株会への加入を奨励している。 ・現在、従業員のほぼ100%が持株会に加入している。 |
現状とこれまでの取組の効果 |
・いずれの取組も、従業員の働きがいの向上につながっている。
・特に、朝型勤務制度は、時間外勤務の減少のみならず、健康への寄与、労働生産性の向上に成功した。また、出産を経て職場復帰した従業員へのアンケートでは、働きながらでも子育てできると思った理由として「職場全体の働き方」が最も多く挙げられるなど、全従業員の働き方改革が、女性従業員のキャリア継続・定着にもつながっている。 ・エンゲージメントサーベイの参加率は全体の95%程度であり、高水準である。総合スコアそのものの高さは重視しておらず、スコアの低い項目に注目し、社内の課題の抽出や改善のための指標としている。 ・エンゲージメントスコアの目標値を設定することも行っていない。スコアの絶対値ではなく、現状をどのように捉え、どのような対策を行っていくかをストーリーで語ることを重要視している。 |
(R6.8)