株式会社アピイ
事例カテゴリ
- 所定外労働削減
- 年休取得促進
- 多様な正社員
- 朝型の働き方
- テレワーク
- 勤務間インターバル
- 選択的週休3日制
- ワークエンゲージメント
企業情報

企業名 |
株式会社アピイ
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所在地 |
青森県
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社員数 |
140名(非正規従業員含む)(時点:2024年8月時点)
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業種 |
介護・福祉業
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取組事例
取組の目的 |
・職場全体を家庭的な空間にしたいと考え、取組を進めている。社員が困っている時や悩んでいる時に、スピード感を持って話を聞ける環境や、会社として従業員に寄り添う取組を整備してきた。
・毎日真剣に利用者と向き合うなかで、介護ケアのあり方をめぐり現場の従業員のなかで悩みが生まれ、場合によってはそれが原因で離職につながるケースもあったため、従業員の悩みを拾えるような取組を展開している。 ・介護職は肉体労働を伴うという職種の性質上、年をとると働き続けることが難しくなるが、前述の「社員にとって家族のような会社でありたい」という理念のもと、60代になってもアピイで働き続けることができる制度、事業設計を検討してきた。 ・介護業の現場は女性の活躍によって支えられている部分が大きいため、女性が家庭と両立しながら活き活きと働ける職場作りを目指してきた。 |
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取組の概要 |
○主な取組内容
・①社長・管理者・現場の従業員の間での綿密でアットホームなコミュニケーション、②現場の従業員が心身を癒し、健康な状態で業務に打ち込める福利厚生、③子育て中の従業員向けの追加育休制度、④創意工夫の重要性の伝達と実践、の大きく4つの取組を行っている。 ・取組の内容は、従業員からの要望や、従業員の悩みを聞くなかで社長が「こういう制度があれば悩みを解決でき、従業員の働きがいにつながる」と考え始まったものが多く、よりよい職場にすることを目的にボトムアップで検討されている。 ①社長・管理者・現場の従業員の間での綿密でアットホームなコミュニケーション ・従業員が少ないため、一人ずつしっかり顔色を見てフォローできる体制づくりをしている。様子が気になる従業員を見つけた場合、社長自ら声をかけている。 <社長と管理者のコミュニケーション> ・主に、社長は管理者層とのコミュニケーションを強化している。管理者20名とは週に1回は必ずコミュニケーションをとっているため、社長が毎週20名と順番に面談している日々である。 ・社長が特にフォローが必要であると判断した管理者については、一定期間、こまめに電話などでコミュニケーションをとることもある。 ・必要に応じて、職場を離れて会食を実施し、職場でない場所で話を聞く場合もある。 ・社長から管理者をフォローする際は、アドバイスまでに留めている。本人の意思や考えを尊重し、挑戦を促すようにしている。 <管理者と現場の従業員のコミュニケーション> ・管理者の下には、平均し15名程度の従業員がおり、管理者が定期的なコミュニケーションをとり、現状の働きがいなどを含めた従業員の状態を把握している。従業員とのコミュニケーションの頻度は、それぞれの管理者に一任している。 ・現場の従業員との面談やコミュニケーションの頻度や時期を定めない理由は、「決まった時期に決まった内容で面談を実施する」という形式だと、従業員は「回答を準備せねば」「この時期に準備せねば」と考え、かえって負担になると考えているからである。また、それぞれの従業員が抱えている悩みは異なるため、紋切り型の同じ質問では真の悩みを引き出すことが難しい側面があるのではないかと考えている。 ・面談を一定の周期で行うよりも、日々のコミュニケーションや、様子が気になった際に「生きた不満」「生きた情報」を得て、職場や働き方の改善に生かしたいと考えている。 ・管理者以外の現場の従業員の間で出てくる仕事に関する悩みは介護方法など「ケア」に関するものが多い。介護に関する適切な方針や理念を徹底して共有することで悩みを解消、減らすことができている。また、「家庭が忙しくて仕事に集中できない」などのプライベートと仕事の双方に関する悩みも多いため、そこは管理者が一人ひとりをしっかりみるようにしている。 ・現場の従業員が管理者に直接相談しにくい事情を抱えている時は、社長宛に手紙を書いてくることが多い。これは、社長に手紙を書けば「きちんと話を聞いて対応してもらえる」という信頼が従業員側にあるからだと推測している。 ②現場の従業員が心身を癒し、健康な状態で業務に打ち込める福利厚生 ・日頃の仕事の疲れを癒し、働きがいを向上させるための取組として、5年位前から、会社でエステティシャンを雇用し、従業員が無料で使えるエステを福利厚生として提供している。本エステは、男性従業員を含む、全従業員が使用することが可能である。 ・エステの取組を始めたキッカケは、従業員が夜勤明けの疲れた体にエステを受けてもらうことで、心も体もきれいになって自宅に帰れるようにし、翌日の仕事をすっきりした状態で迎えてほしいと考えたからである。 ・エステやマッサージを個人で受けようとするとそれなりの費用負担になるところ、福利厚生で実施することで、「体にもお財布にもやさしい」と従業員からは好評である。 ・上記の通り、夜勤などによる疲労を持ち越さないことで、疲労や忙しさから来るストレスが減った。そのため、仕事に対する不満も減少し、職場の雰囲気が明るく穏やかになり、従業員間の関係の改善にもつながった。 ③子育て中の従業員向けの追加育休制度 ・子育て中の従業員向け育休として、法定の育児休業や子の看護休暇、年次有給休暇制度に加えて、子どもが0歳から3歳の間に、追加で年次有給特別休暇を付与している。また、子どもに障がいがあった場合には、さらに追加して有給特別休暇を付与している。 ・取組開始の背景として、子育て世代の従業員からの相談がある。子育てをしていると、子どもの急な発熱など不測の事態の発生により、やむを得ず有給休暇を取得せざるを得ない場面が増える。一方で、年次有給休暇をすべて取得してしまった後に、さらに追加で休暇を取得する必要がある事態に直面すると、欠勤になり給与に影響が出て生活できなくなってしまう、という従業員からの相談があった。 ・そこで、子育て中の従業員でも、仕事と家庭を両立し働き続けることが可能な環境の整備が必要であると考え取組を導入した。この独自の育児休暇制度は、従業員一人ひとりの事情に耳を傾け、柔軟に制度を拡大している。 ・取組の導入にあたり、「なぜこの人ばかり休めるのか」という不満が出るのではないかと危惧していた。しかし、従業員の間から不満が出ることはなく、むしろ先進的な取組をしていることにより、会社に対して誇りを持つようになった。 ・子育て世代から評価が高いのはもちろんのこと、若い世代からも「いつか自分もこの制度が使える、職場にいても働きながら子育てができる」という安心感につながっているようで、職場の雰囲気が良くなった。 ・また、従業員の間で「きちんと休みを取得できる職場」という共通認識も高まったため、休暇を取得するのはお互い様という考えが浸透し、結果として全社員の休みやすさも高まっている。会社全体としてよい方向へまとまり、皆で歩めるようになった。 ・会社への信頼感が高まって定着につながっており、導入してよかったと感じている。 ④創意工夫の重要性の伝達と実践 ・働きがいに直結する要素として、通常の業務における創意工夫を重要視している。社長自ら、管理者や現場の従業員に対して、日々の業務のなかで、利用者や地域の人が喜ぶことを自由な発想やアイディアをもって取り組んでほしいということを伝えている。 ・上記の姿勢を示すために、社長自ら実施したのが「利用者の食事用のエプロン」の改良である。一般的な介護施設においては、「後ろ留め」のエプロン(介護士など補助者がいないと留められない)が使用されているが、自力でも留めることができるエプロンを考案した。このエプロンについては商標登録をして販売している。 ・また、現場の従業員が日々の業務で使用する記録用紙や記録の書き方も、管理者や現場と話し合い様々な意見を取り入れて独自の方法を模索してきた。 ・このように、日々の業務のなかで試行錯誤しながら、創意工夫を重ねて業務を遂行している。 |
現状とこれまでの取組の効果 |
・エステ導入前と比較し、「夜勤の疲れがつらい」などの不満が少なくなった。また他社にない取組であるため、離職者が減り定着率向上にもつながっている。
・非常に緊密なコミュニケーションをとることができる職場を形成できているため、「打てば響く」職場になっていると考える。コミュニケーションが働きがいや雰囲気のよい職場作りの土台になっていると考えているので、今後規模が大きくなった時もコミュニケーションがとれる体制づくりになるようにしたい。 ・エステや独自の育休制度によって、職場環境や従業員同士の関係を良好に保つことにつながっていると感じている。仕事の疲れや不満のもとが減り、それが職場での雰囲気の改善や働きがい向上につながっている。 ・加えて、家庭での家族関係にも良い影響があり、それも働きがい向上につながっている。休みやすい職場風土の醸成により、家事が大変な時の支援や、子供の通院への支援など仕事と家庭の両立が可能になった。それにより、家族関係が良好になり、従業員が笑顔で活き活きと働くことができるという好循環につながっている。 |
(R6.8)