株式会社特種東海フォレスト
事例カテゴリ
- 所定外労働削減
- 年休取得促進
- 多様な正社員
- 朝型の働き方
- テレワーク
- 勤務間インターバル
- 選択的週休3日制
- ワークエンゲージメント
企業情報
企業名 |
株式会社特種東海フォレスト
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所在地 |
静岡県島田市
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社員数 |
130名
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業種 |
宿泊業、建設業、保険業
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取組事例
取組の目的 |
ロッヂ・山小屋の運営は、一般の旅館業とは環境が異なり、宿泊や食事提供のみならず、登山者の安全確保と避難の役割をも担う事業です。
ゆえに勤怠管理は非常に苦慮していますが、コロナ禍による営業休止期間(2020年~2021年)を機会に、勤怠管理を見直し、就業機会の拡大や意欲・能力を発揮できる環境を作るべく、改善に取り組みました。 |
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取組の概要 |
<現在の取組>
○労働時間の適正な把握と所定外労働の削減 ・ロッヂ・山小屋の運営は、季節の繁閑差や天候に左右され、一勤務中における労働時間と休憩時間の切り替わりが流動的という特性があるため、労働時間の把握が非常に煩雑です。こうした事情により、アルバイトについて、従前は一日の労働時間を8時間として、日給制で賃金を支給していました。 しかし、取組の目的でも触れたように、就業機会の拡大や従業員の意欲・能力を発揮できる環境を作るべく、まずは労働時間と休憩時間を適正に把握するために、タイムカードを導入して時給制にするなど勤怠管理を大きく見直しました。そして、労使間で労働条件の認識が相違しないよう、『アルバイトにおける就業規則』を再構成して整備しました。 ・また、この勤怠管理の見直しに当たり以下の取組を実施しました。 (事前予約制の導入) 従前、宿泊の予約は不要で、訪れる登山者を全て受け入れていましたが、従業員の負担軽減や余暇の確保を考え、事前予約制とし、感染症対策も加味して従前の約6割に下げた宿泊者数を定員とすることで、業務量を見越した余裕のある従業員の配置が可能となり、業務の平準化を図ることができました。 (朝食の提供方法の変更) 朝食はかつて早朝から料理をして登山者に提供していましたが、前夜に弁当にて用意するなどして、所定外労働を削減することができました。 ○休暇取得の促進 ・各ロッヂ・山小屋は下山だけで1日を要するような位置にあり、シーズン中はほとんど下山しないという勤務の特性から、アルバイトの人員確保が課題となっていました。 よって、以下の取組を実施することで、交代要員としてアルバイトを増員することができ、休日の確保や年次有給の取得を促進することができました。 (求人活動) ハローワークや求人広告媒体はもちろんのこと、大学登山部のネットワークによる求人、山小屋の魅力を伝えるイベントを企画し、自治体の広報誌にて参加者を募るなど、様々な方面からアプローチを行いました。 また、山小屋での貴重な体験を持ち帰った学生の方々が、インフルエンサーとなって情報を拡散して下さり、口コミによる効果も得ることができました。 ○その他(通信環境の整備による業務の効率化、従業員の満足度向上) ・各ロッヂ・山小屋は、静岡県の最北端である南アルプス南部に位置しており、一部携帯電話の電波が届く場所もありますが、無線すら繋がりにくい位置にあり、日々の連絡でさえ容易ではない状況にありました。 よって、携帯電話やインターネットによる連絡手段を可能にするため、設備投資により衛星通信を導入しました。これにより、業務における報告・連絡・相談がスムーズに行われることとなり、かつ、従業員・アルバイトの満足度も向上しました。 <今後の課題・取組> アルバイトの増員・賃金支給の見直し・通信環境の設備投資といった内的要因、そして資源価格の高騰・円安の進行といった外的要因から、コストは大幅にアップしましたが、働き方改革に取り組んだことで、従業員・アルバイトの満足度が向上しました。 行政のご協力も仰ぎ、引き続き長期的・持続的な対策を検討してまいります。 |
現状とこれまでの取組の効果 |
所定外労働の削減を目指した取組の結果、業務量は軽減し、業務の繁閑差を平準化することができました。
また、労働力不足の状況下、充足には満たないながらも、必要最低限の人数を雇用できたことは、当社の取組が実を結び、目的である『就業機会の拡大や意欲・能力を発揮できる環境を作る』の達成に大きく近づいたものと考えます。そして、SDGs目標8「働きがいも経済成長も」のテーマである、労働者が働きがいを持ち、生きていくのに必要な賃金を得られる社会の実現にもコミットしていると考えます。 |
(R6.8)