松本自動車販売株式会社

事例カテゴリ

  • 所定外労働削減
  • 年休取得促進
  • 多様な正社員
  • 朝型の働き方
  • テレワーク
  • 勤務間インターバル
  • 選択的週休3日制
  • ワークエンゲージメント

企業情報

松本自動車販売株式会社
企業名
松本自動車販売株式会社
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所在地
福井県坂井市
社員数
27人
業種
自動車小売業

取組事例

取組の目的
安心安全で働きやすい環境をつくることで、離職者を減らし、社員が長く働ける会社にする。また、業務効率化を進めることで利益が上がるようにする。
取組の概要
<現在の取組>
○トップメッセージ
社員1人1人のライフステージに合わせ、社員1人1人が働きやすく幸せであることが、会社にとって一番大切な事。そこで弊社は、「多様な働き方ができる」、「社員がイキイキできる」、「共に成長できる」、「健康で安心安全に働ける」の4つの取組に力をいれている。

○働き方改革に取り組むきっかけ
働き方改革取組前の平成28年までは、時間外労働が多く、1人月平均21時間15分だった。年次有給休暇の取得は0日の状態であった。繁忙期には、時間外労働が月80時間を超える部署もあり、「僕はロボットではない」と言って退職していった従業員がいた。また、平成29年4月に、初めて高卒で女性社員の新規採用もあり、今の環境では若い社員が長く働けないと考え、社長がトップダウンで働き方改革に取り組んだ。

○働き方改革全般に向けた取組
若手社員を中心に、働き方改革プロジェクトチームを立ち上げた。毎月1回、チーム内で時間外労働削減や年次有給休暇取得促進、業務効率化、社内コミュニケーションなどについて、課題の洗い出しを行い、解決策を考え各部署に持ち帰り実践。次回、結果をフィードバックし、修正することを繰り返し行った。(平成31年1月から令和3年8月まで。)

・具体的な取り組み
意識改革
①社員に、「なぜ、働き方改革を行うのか」を理解してもらうため、朝礼で社長から度々説明してもらい、会社が目指すべき姿をわかりやすくした。また、社員には、一般社員向けや管理職向けの働き方改革セミナーや研修に参加してもらった。
②「仕事が終わった時間が退社時間」だった考えを、「定時までに1日の仕事を終わらせて退社する」という考えに変更。

時間外労働の削減に向けた取り組み
①パソコン業務の社員に対しては、タスク管理を行った。出社してすぐに作成するタスクでは、「今日やること」「今日の業務の優先順位」を入力。可視化することで、1日に行える業務時間や業務量を把握した。やり残した業務は、「明日やること」として入力し、明日のタスクに上げ、明日の業務を明確にした。
②部署長が部署内の業務を把握し、残業にならないように指導した。また、残業になる時は17時までに事前申請をしてもらうようにした。(以前は、残業の事前申請無し。残業をするかしないかも各社員にまかせていた。)
③残業の多い整備士に対しては、車検・点検・クイック作業(オイル交換、タイヤ交換等)の平均作業時間を出し、1日に行える業務量を把握。車検、点検等の予約管理を徹底し、時間外労働の削減を行った。(働き方改革取組前は、予約管理は行わず、入ってきた仕事は全て受けていたため、終わるまで帰宅出来ず、1日の仕事量の把握も出来ていなかった。)
④総務部で勤怠等の労務管理を行い、誰が、どの部署が、どのくらいの労働時間なのかを可視化した。残業になる社員について、なぜ時間外労働になるのかを話し合い、業務の見直しや改善を行った。
⑤7月1日起算日の年間カレンダーで年間の休日とシフトを社内で共有し、部署内で休みが重ならないようにしている。(1日に必要な人員を確保するため。)
⑥会社の労働時間は8時から17時(休憩90分)の1日7時間30分だが、営業時間は8時30分から19時までのため、17時から19時が時間外労働になる。シフト勤務を導入し勤務時間を8時から17時、10時から19時とし、17時から19時に残る社員を、年度初めに作る年間休日カレンダーで1年分管理している。また、その日の残業を当番制にすることで、他の社員は定時退社できるようにした。(お付き合い残業をなくす。)同時に、17時から19時の人手の少ない時間帯に必要な人員を確保できるようにした。
⑦組織改革を行い、部署、役職を少なくし、それぞれの社員が何の仕事を行うのか、どのように連携するのかをシンプルにすることで、業務の流れをわかりやすく見える化した。
⑧勤務間インターバル制度(9時間以上11時間未満)導入。(令和2年9月から)


○年次有給休暇の取得促進
①入社3か月後より10日付与、翌年7月に一斉更新している。1時間単位の取得も可能。遅刻をしそうになった時は、始業時間の8時までに連絡があれば、時間単位の年次有給休暇取得を認めている。就業時間途中の時間単位の年次有給休暇取得も認めている。(歯医者などへの通院や急な子供等の送り迎えも取得可。)
②業務の閑散期は年次有給休暇の取得を積極的に促進している。(必要な人員を確保するため、メリハリをつけた年次有給休暇取得の促進を行っている。)
③年次有給休暇の申請は3日前まで。あらかじめ休む社員が分かることで、業務の管理ができるようになった。(病気など急なものに関しては3日前でなくても取得可能。)
④「年5日の年次有給休暇の確実な取得」が義務化された2019年4月からは、お客様の都合等で業務を行うことが多い営業職に対しては、計画的付与制度を導入。
※年次有給休暇:2016年(平成28年)7月までは、取得日数0日であった。

○特別休暇の有給化
①特別休暇(冠婚葬祭(本人の父母、兄弟姉妹、配偶者または子、祖父母、配偶者の父母が死亡した時))、子の看護休暇、介護休暇を2017年(平成29年)4月から有給扱いとした。子の看護休暇、介護休暇は時間単位の取得可能。)

○多様な正社員の導入
・短時間正社員制度の導入
きっかけ
①障害のある子を育てている社員が定期的な子の通院や療育で休むことが多く、年次有給休暇や子の看護休暇、介護休暇が無くなってしまうため。(障害手帳などのコピー提出が必要)
②1人親家庭で、保育園の送り迎えをしなければいけなくなった社員がいたため。
③介護認定を受けた親や祖父母の介護のため、通院やケアマネージャーとの打合せで休むことが増えた社員がいたため。(介護認定の書類のコピーが必要)
導入時期
平成30年8月から導入。

○若者を雇用する取組
人手不足解消のため、離職者を減らすことと同時に、若手社員の新規採用に取り組んだ。働き方改革を始めた結果、年々、時間外労働が減り、年次有給休暇の取得日数も増えてきたことで、健康経営優良法人の認定を受けることができた。その後、若者の採用が増えたことで、若者の採用・育成に積極的で雇用管理が優良な中小企業として、「ユースエール認定」を令和3年に受けることができた。
①健康経営の認定
・健康経営優良法人2020(中小規模法人部門)認定
・健康経営優良法人2021(中小規模法人部門(ブライト500))認定
・健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)認定
②ユースエール2020年度認定
※20歳代社員の割合:2016年(平成28年)7.6%(認定前)
2021年(令和3年)21.8%(認定後)

○その他
①共に成長するために
社員1人1人のスキルアップのために、新入社員研修、社員研修、管理職研修、技術研修、女性管理職研修など各種研修制度を導入。
②資格支援
業務に必要な資格については、勤務時間中に受験し、費用も会社が出している。資格手当の支給もしている。
③社員のコミュニケーション作り
毎朝、朝礼後に部課長ミーティングを行い、その日の入庫や納車の状況、業務の流れなどを確認。また、2年に1回の社員旅行、部活支援(ゴルフ、マラソン、ボーリング等)、社内ランチ会(毎月1回総務部が調理)、社内コンビニ設置(全品100円)、ランチミーティングの導入、誕生日休暇の創設(休日1日(有給)と金一封)、フィットネスジムの法人会員に取り組み、健康経営と親睦を図っている。

<今後の課題・取組>
1 SDGs(目標3・5・8)に取り組んでいく
目標3:社員が健康で、安心・安全に働ける職場づくりと社員の健康的な生活を確保し、福祉を推進する。
目標5:ジェンダー平等を達成し、女性社員のエンパワメントを図る。
目標8:持続的、包括的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用および働きがいのある人間らしい仕事を推進する。
2 IT導入
業務の効率化や在宅勤務を可能にし、災害時や急な子の病気、介護や病気を抱えている社員など、出社できなくても仕事ができる体制を整えていきたい。
※令和3年8月より、両立支援コーディネーターを配置
3 社員の健康づくり及び安全な職場作りの推進
令和2年9月から安全衛生推進者を選任し、安全衛生委員会を設置。月1回委員会を開催し、社員の健康づくりや安全な職場環境を維持するための話し合いを行っている。

<今後も継続して取り組むこと>
・健康診断受診率100%
・特定保健指導の実施
・社員食堂で手作りの野菜たっぷりみそ汁を提供する
・毎日の作業前点検パトロールの実施
・ヒヤリハットの検証
現状とこれまでの取組の効果
○所定外労働時間数
<取組前> 2016年(平成28年)1人月平均 21.9時間 
<取組後> 2022年(令和4年)1人月平均 9.6時間
○年次有給休暇の取得状況の変化
<取組前> 2016年(平成28年)取得率 1.09%
<取組後> 2022年(令和4年)取得率 83% 年平均取得日数 14.237日
○ユースエール認定を取得
<認定前> 毎年平均 2.25名(中途採用) 0.5(新卒採用)
<認定後> 令和4年度 2名(中途採用) 0(新卒採用)
(R6.3)

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