株式会社ハンナ

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企業情報

株式会社ハンナ
企業名
株式会社ハンナ
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所在地
奈良県
社員数
155名(2023年7月時点)
業種
道路貨物運送業

取組事例

取組の目的
・1980年創業、一般貨物の運送事業を実施している。現社長は3代目であり、17年前に就任した。
・3代にわたる長期の経営の中で、各社長の世代で採用した社員の性格・考え方が世代ごとに異なっており、現社長が就任当時に掲げた経営戦略が、一部の社員から合意を得られにくい状況にあった。また、過去に賃金体系を変更した際、経営陣と社員側との意思疎通が十分にできておらず、不満を持つ社員もいた。そうした中で、初めての死亡事故や、経営陣と社員側との対立等の問題が複数生じた。一時は多数の社員が離職し、同業他社に助けてもらいながら業務をこなしたこともあった。
・その後6年かけて社員と丁寧にコミュニケーションを重ねる中で、社員を大切にすることを重視し、様々な取組を実施するようになった。社員には、5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)を違和感なく実施できること、自分自身も周囲の人(家族、同僚等)も大切にできることを求めている。
取組の概要
○基本的な考え方
・現社長は、「良いワークのためには良いライフが必要」との考えのもと、社員が自分自身を大切にすること(ワークライフバランス)を重視している。ただし自分さえ良いという利己的な個人主義ではなく、家族や同僚、顧客にも配慮することを求めている。

○主な取組内容
・自社の経営方針や考え方にマッチする人を採用し働いてもらうことが、社員自身のエンゲージメント向上にも、周囲の社員のエンゲージメント向上にもつながると考えている。そのため、同社では、①採用時に自社が重視する価値観に沿った人材か確認すること、②入社後も経営層と定期的に面談し企業風土や価値観を理解してもらうこと、を重視している。

①採用時に自社が重視する価値観に沿った人材か確認すること
・採用において最も重視している点は、5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)を違和感なく実施できることである。企業の持続的な成長のためには、自分自身のみならず家族、同僚、顧客にも配慮できる社員から成る組織である必要がある。そのためには5Sを前提として、企業風土や価値観に共感する社員を採用することが重要である。
・採用に際しては、本人の人柄や自社を志望する理由を確認した上で、上記の要素を有するか判断し、採用可否を決定している。
・離職希望者は引き止めない方針である。他社でも活躍できる人材を育て、本人が希望する場合は引き止めない。

②入社後も経営層と定期的に面談し企業風土や価値観を理解してもらうこと
・正社員として採用した上で、(1)入社後2週間、(2)入社後2ヶ月、(3)入社後4ヶ月、(4)入社後6ヶ月のタイミングで4回面談を実施する。企業風土や価値観を理解してもらい、エンゲージメントを高めつつ、会社を支える人材へと育成するためである。
・面談は、各社員へ直接経営層が会社としての考えを伝える機会であり、また経営層が直接各社員の考えを聞く貴重な機会でもある。そのため、入社後2ヶ月以降の面談は社長や取締役が実施することとしている。
・各段階における面談の概要は以下の通り。
(1)入社後2週間:現場体験の期間にあたる。トラックドライバーに向いているかを確認する目的で実施する。もしトラックドライバーに向いていなければ、職種を変えバックオフィスで働くこともある。このタイミングの面談は直属の上司が実施する。
(2)入社後2ヶ月:経営理念を理解しているか確認する目的で実施する。自分を大事にしつつ、周囲の人を大切にすることができるか、コツコツと続けることができるかを確認している。このタイミングの面談は社長または取締役が実施する。
(3)入社後4ヶ月:社員自身が仕事を通じて何を得たいのかを確認する目的で実施する。このタイミングの面談は社長または取締役が実施する。
(4)入社後6ヶ月:1年後の自分のイメージを持つことができるかを確認する。6ヶ月で社員として一人前になることを目指すため、一人前にふさわしい考え方を身につけているか確認する目的で実施する。このタイミングの面談は社長または取締役が実施する。
・入社後6ヶ月以上経過した社員に対しては、本人の長所を確認し、今後どういった部分を伸ばしていくか確認するために、年に一度「グッドポイント面談」と称した面談を実施する。自分では気が付きにくい長所に気付かせ、チャンスを与えることでモチベーションアップにつなげている。
・面談は、入社後2週間のタイミングで実施するものを除き、なるべく社長または取締役が実施することとしている。経営者が社員の考えを直接聞くチャンスであると同時に、社員が直接会社の考えを聞くチャンスでもある。社員次第で会社が変わると考えており、面談はとても重要なため、経営者自身が関与している。
・人事に関しては経営管理部が所管しており、何かあれば経営管理部内で情報共有される。その後、取締役会へ報告され、取締役会でさらに議論される。
・3ヶ月に一度人事連絡会という会議を実施し、事業所の責任者が各事業所に所属するドライバーについて情報共有を行っている。各社員について丁寧に情報共有を実施することで、よりよい人材配置や人材育成につながるといった効果も出ている。
現状とこれまでの取組の効果
・粘り強く継続的に社員との対話を実施したことで、企業として大切にする考え方が社員にも浸透し、共感を得られている。その結果、社員の働きがいも向上している。
・取組は採用にも良い効果をもたらしている。「社員を大切にする会社」という評判が広まり、非常に多くの入社希望者から応募がある。具体的には、2023年4月~6月までに30~40名程度から応募があり、11名を採用した。
(R5.7)

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