SCSK株式会社

事例カテゴリ

  • 所定外労働削減
  • 年休取得促進
  • 多様な正社員
  • 朝型の働き方
  • テレワーク
  • 勤務間インターバル
  • 選択的週休3日制

企業情報

SCSK株式会社
企業名
SCSK株式会社
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所在地
東京都
社員数
13,979名(連結)
業種
情報通信業

取組事例

取組の目的
ITサービス業界のリーディングカンパニーを目指し、これまでの健康経営や働きやすさの追求に加え、働きがいの推進やエンゲージメントの向上のための取組を推進する。また、リモートワークなどの柔軟な勤務の常態化に伴い、事業戦略と働き方やオフィスの在り方を統合した「新しい働き方」を新たな方針として定め、高い生産性と働きがいの実現を図る。
取組の概要
<現在の取組>
○働き方改革(所定外労働の削減や年次有給休暇の取得推進等)に向けた仕組み作り
2012年4月にフレックスタイム制を全社導入し、同年7月には裁量労働制も導入。
2013年4月より、「年次有給休暇取得日数20日、平均残業時間20時間/月以下」等を目標に掲げた「スマートワーク・チャレンジ(スマチャレ)」に着手。その活動によって減少が見込まれる残業手当を全額原資としたインセンティブ制度を導入し、部門単位の達成状況に応じた賞与加算を実施(同インセンティブ制度は2014年度まで)。
併せて、効率的で生産性の高い仕事を行うため、アイディアコンテストや取組事例の表彰(社内共有)を実施するとともに、課単位での取組施策を社内ポータルに掲載し、MBO(業績目標)にも同取組を連動させる。その他、前月の勤怠実績や当月の残業時間予測を毎月全役員が出席する会議で報告し、進捗度合いに応じて経営トップから発せられるメッセージを社内ポータルに掲載することで、同取組に対する会社の本気度が社員一人ひとりにも浸透。当社の取組について、顧客やパートナー企業にもご理解・ご協力をお願するお手紙を社長名で作成し、顧客やパートナー企業にも働きかけを実施。

○長時間労働の防止と働き方改革の定着に向けて(その1)
2014年4月以降も、スマチャレに継続して取り組むとともに、長時間労働の防止や、働き方改革の定着を目指した新たな施策もスタート。所定労働時間の短縮(10分/日)も実施。
また、勤怠実績を確認し、月次認証を行う上司を残業時間に応じて変更するルールを導入し、残業(所定時間外)が80時間/月(法定外70時間/月)を超えた場合は、社長を認証者とする。
さらに、長時間労働(所定時間外で60時間/月超)や休日出勤に対する賦課金制度(社内管理上、営業利益に賦課し、役員評価等に加味する制度)や、長時間労働者に関する改善報告書(四半期単位で上司が人事部門へ提出)も導入。(賦課金制度については2017年度末に終了)

○長時間労働の防止と働き方改革の定着に向けて(その2)
2015年7月より人事制度を改定し、裁量労働制の対象者を拡大することで、より一層成果に着目した働き方を推進。裁量労働制対象外の社員にも固定残業代(20時間/月もしくは34時間/月相当)を支給。

○長時間労働の防止と働き方改革の定着に向けて(その3)
長時間労働の抑制だけでなく、社員が心身の健康を保ち、仕事にやりがいを持って働くことができる職場環境の実現を目的に、2020年度より前日の勤務終了と翌日の勤務開始までに11時間以上の休息時間を確保する勤務間インターバル制度を導入。(2020年度はトライアル実施、2021年度より本導入の予定)

○いつでも、どこでも働ける新しい働き方「どこでもWORK」
2016年度より、「いつでも、どこでも働ける新しい働き方」を目指すリモートワークの推進施策「どこでもWORK」を段階的に開始。同施策ではリモートワークの推進と同時に、紙を前提としない働き方(「ペーパーダイエット」)と多様な働き方スペースの設置やフリーアドレスを実現した生産的・効率的なオフィス(「フレキシブルオフィス」)を三位一体で推進。リモートワークについては原則8回/月(特別な事情がある場合を除く)を限度として全社員が実施可能な環境を整備。セキュリティの観点から、リモートワークは自宅、実家及びサテライトオフィスでの実施を原則としているが、育児や介護等特別な事情がある場合には申請を行うことで、自宅・実家以外でのリモートワークを可能としている。
導入当初はリモートワークの定着推進のため、リモートワークの月間実施回数に応じ、水道光熱費見合いの「リモートワーク推進手当」を支給するとともに、上司の率先垂範を促す「組織チャレンジ」の仕組みも導入。(「組織チャレンジ」については2017年度末に終了)
2020年には、新型コロナウイルス感染拡大防止対策だけでなく、リモートワークなどの柔軟な勤務を常態としながら高い生産性と働きがいを実現する「新しい働き方」の推進を開始。リモートワーク実施回数の上限を撤廃し、自宅においても生産性高く業務遂行できるよう「リモートワーク推進手当」を増額すると共に、リモートワークと出社のメリハリある使い分けや組織としてのバランスを意識した組織運営に取組む。

○年次有給休暇の取得推進に向けて
休暇を取得しやすい職場環境の構築を目的に、2012年度は年次有給休暇取得率90%を目標に設定し推進開始。2012年12月には有休取得推進に向けた新しい休暇制度(不測の事態に備えた特別有給休暇=バックアップ休暇)も導入。
2013年度より、休日が平日を挟んで並ぶ飛び石連休の平日や、土曜日が祝日の場合は翌月曜日を一斉有休(計画的付与制度)や有休奨励日にすることで連続休暇の取得を推進。併せて、プロジェクト休暇(プロジェクトの区切りに5日以内の連続休暇)、メモリアル休暇(誕生日や結婚記念日等を理由として3日以内の休暇)の設定、またライフスタイルに合わせて柔軟に有休を取得できるよう時間単位有休を導入するなど、各種休暇制度を整備。加えて、社員代表と有休取得率100%を目標とする合意書を締結し、労使で有休取得を推進。また、有休・プロジェクト休暇・メモリアル休暇のシール付きカレンダー(一斉有休日はカレンダーに印字)を全社員へ配布し、休暇取得の見える化と促進を実施。
2014年4月には、バックアップ休暇を年3日から5日とし、休暇制度を拡充。

<今後の課題・取組>
コロナ禍によりリモートワークが加速し、業務を効率的に進めるために一人ひとりの業務がより明確なることで、これまで以上に仕事と生活のバランスが取りやすく社員のQOLは向上。一方で、コミュニケーションや新しいアイディアの創発、組織への求心力が低下することが懸念されることから、会社からより積極的なビジョン共有やコミュニケーションを促す働き掛けの必要が生じ、そのための仕組みや仕掛けを作れるかが企業の成長力や収益力に大きな影響を与える。
ニューノーマル時代のマネジメントにおいて、これまでの延長線上のマネジメントではなく、出社とリモートワーク、それぞれの働き方のメリハリや使い分け、組織としてのバランスの取れた働き方を意識したマネジメントが重要となる。業務プロセスと役割分担を可視化し、業務と人の配置状況を最適化すると同時に、シンプルで質の高いコミュニケーションをとるための最適な手段(対面・Web会議・チャット)の検討、論理的かつ端的な言葉・メッセージを伝えメンバーの意見を引き出す環境づくりが必要である。
併せて、より質の高い「新しい働き方」実現に向けて、役員も含めた全社員にアンケートを実施し、顕在化した課題を抽出し施策検討を開始する予定。コロナ禍により変化する事業環境に対応したオフィスの在り方を含む、統合的な次世代の働き方戦略「働き方改革2.1」を新たな方針として定め、取組を進めていく。
現状とこれまでの取組の効果
○月平均残業時間の推移
2012年度:26時間10分 2013年度:22時間03分 2014年度:18時間16分 2015年度:18時間00分 2016年度:17時間47分 2017年度:16時間22分 2018年度:17時間41分 2019年度:18時間15分
○どこでもWORK実施状況(リモートワーク平均実施率/月)
2016年度:12% 2017年度:37% 2018年度:40% 2019年度 43%
※2020年5月新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言下では約80%

○年平均年次有給休暇取得日数(率)の推移
2012年度:15.3日(78.4%) 2013年度:18.7日(95.3%) 2014年度:19.2日(97.8%) 2015年度:18.7日(95.3%) 2016年度:18.7日(95.3%) 2017年度:18.8日(96.4%) 2018年度:18.5日(94.4%) 2019年度:18.1日(93.0%)

○多様な人材の活躍
働き方改革の取組と並行してダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進を行い、多様な人材の活躍推進に繋がっている。
【女性活躍推進】
女性の活躍を示す主な指標として女性管理職の人数に目標を設定し、世代毎の課題に応じたキャリア開発支援を実施。登用実績は2013年施策開始時の約9倍にあたる119名に達した。
【育児と仕事の両立】
両立支援制度の整備や社内セミナーの拡充を通じて育児休業からの復職率は直近年度95.7%、過去5年間平均95%程度を維持。

○採用状況の変化
働き方改革関連の各官公庁及び民間の調査にて表彰を受けたことで、企業の認知度や労働環境面での信頼度が向上。それにより、新入社員採用時の応募総数が増え(約1.5万人⇒約2.7万人)、優秀な人材の確保に繋がった。

○その他、社員意識の変化
・社員意識調査にて「成果を意識した働き方ができている」の回答が上昇傾向
2018年:79.1% 2019年:81.0% 2020年:82.0%

・社員意識調査にて「多様な働き方ができる会社である」の回答が上昇傾向
2018年:80.7% 2019年:82.4% 2020年84.7%

・複数の社員調査においてワークエンゲージメントが上昇傾向
(健康に関するアンケートワークエンゲージメント指数)
2018年:2.80ポイント 2019年:2.85ポイント 2020年:3.00ポイント
(社員意識調査「誇りを持って働ける会社である」)
2018年:79.0% 2019年:78.0% 2020年:82.5
(R3.3)

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