社会福祉法人豊郷町社会福祉協議会

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企業情報

社会福祉法人豊郷町社会福祉協議会
企業名
社会福祉法人豊郷町社会福祉協議会
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所在地
滋賀県犬上郡豊郷町
社員数
18名
業種
医療・福祉

取組事例

取組の目的
本会会長(田中 寬)の「同僚や利用者など周囲の人を見て仕事をしましょう」「安全、快適、コミュニケーションが取れる風通しのよい職場環境をつくりましょう」との発案から取組みを開始しました。
目的達成のために、職場のムリやムダを無くすことで、労働時間の縮減や年次有給休暇が取得しやすい環境づくりにつなげたいと考えています。
取組の概要
<現在の取組>
○ムリ・ムダの改善 ~労働時間縮減のために~
【委員会活動の活用】
<運営方法>
・労災委員会、安全委員会、ロス委員会など、既存の委員会活動を活用して毎月1回、改善活動を実施している。
・改善項目は全職員を対象とした匿名アンケートを利用して決定。アンケートでは改善点と改善案とその改善案を実行することによるメリットをセットで提出してもらい、委員会が検討のうえ改善を実施している。
・委員会は改善実施後の効果検証を行い、報告書を作成して全職員へフィードバックし、これを繰り返すことで職場環境の問題点を改善している。また、当年度中に実施できなかった改善事項や提案者の意向と違った対応をしていた場合は、次年度に繰り越し、引き続き検討することとしている
・委員会の委員は職員互選により選出された職員代表が必ず加わるように構成し、委員以外の職員も一体となって取組める工夫をしている。

<具体例>
・情報共有化:全職員が簡単にアクセスでき、活用できるよう、共有ファイルを大幅に整理。引継ぎ等で削除して良いか分からないファイル等が無数にあり、また、ファイル名やフォルダ名も、ルール化できていないことにより、探す時間やアクセスする時間など無駄な時間があったため、簡単にアクセスできるよう不要ファイルを削除し、階層式のルールもしっかり明確化して整備を行うことで、事務作業に係る時間が大幅に縮減できた。
・電源タップ再配置:ほこりなどが入っていたり、経年劣化に伴う危険な状態となっていた電源タップの利用状況を改善するため、全部の電源タップを、ホコリガードなどの安全なタップに付け替え、タップを職員が常に見える位置に設置するなど、現時点の使用状況に合わせるようにした。そうすることで、最初の入れ替えなどの時間はある程度要したものの、以後の管理に係る時間はかなり短縮でき、快適に電源確保ができている。
・安全点検の実施:委員が安全点検リストを作成し、それを活用して館内の安全点検を実施した。普段は出入りしないところや、普段あまり意識をして見ていないところをくまなく全て見回りを行い、改善箇所が見つかった場合は速やかに改善し、安全に・安心して事業が推進できるようにした
・作業環境の整備:多くの物品を捨てずにためこんでしまっていたため、収納場所や作業場所に物品が無数に点在していた。現場での作業スペースが不効率になっていた部分があったため、委員がまず、館内の全てを点検、不要品であろう物品を選定して(不要品には赤テープを貼付)、全職員に本当に処分して良いか、聞き取りを行った上で、全員が不要だと判断した物を処分、作業環境等を整備した。作業環境を整えることで作業効率も向上して、職員の作業時間も短縮することができた。
・見える化の実施:整理整頓できている状況を拡大写真撮影にして、見えるところに貼り付けることで、常に整理整頓状況を維持すべく啓発を行った。写真を意識して過ごすことで、日々の作業環境を良好に維持し、作業効率を上げることができた。
・裏面利用の廃止:今までは「裏面利用しよう」という意識付けをしていたので、コピーを取るときなどに、裏面利用用紙をセットしてコピーを毎回行っていた。それにより、紙詰まりや排紙部分がインクで汚れたり、紙を正しくセットするまでの作業時間や待ち時間などの弊害が生じていたが、そういった行為による「紙の無駄」から「時間の無駄」に意識を向けたことにより、業務の時間短縮が計れた。

<工夫した点>
・活動当初、委員は会社が決定し、改善案は委員で決定していた。委員以外の職員は、一部の職員が決定した改善案を実行すること、自分たちの意見が反映されないことに不満や温度差が生じたため取組みが軌道にのらなかったことから、全職員が取組んでいることを実感できるよう、現在の状態に変更した。
・全ての回答内容を必ず検討して「アンケートに回答して良かった」と思えるようにすることで、毎年継続化が図れると共に、職員にアンケートが定着し、改善案を意識しながら業務に取り組めている。
・アンケートを始めた当初は「改善してほしい点」のみを列挙する形から入ったので、具体的な記載が少なく、改善点が絞りにくいため、検討などが大変だったが、次回から「改善してほしい点」「改善案」「改善による効果(メリット)」をセットで回答する形式を取ったことにより、改善を求める点が具体的に分かり(絞り)やすく、検討しやすくなった。

<今後の課題>
・在籍人数を考慮し、アンケートは匿名での回答としているが、記載内容が曖昧な場合に委員会が意図を確認することが困難な場合があり、今後の課題となっている。
・取組み開始から1年程経過した際にコロナ感染症が流行し、一部業務ができなくなった。その業務に費やしていた時間を取組み活動に充てていることから、通常の状態に戻った場合、取組み分だけ所定外労働時間数が上昇しないよう、更なる工夫が必要と考えている。
・必ずしもアンケートで回答しなくても、その都度現場職員でコミュニケーションを取りながら、改善できる内容もあるので、その使い分けが難しいと感じている。


【社内研修】
<運営方法>
・会長が研修テーマと発表者を選出し、発表担当者は発表後、参加者間での質疑応答を行う形式。実施は毎月1回。
・発表者はテーマに詳しい者を充てているが、質疑応答にも対応することもあり、知識の再確認が必要で、更に見識を深める機会となっている。
また、受講する職員相互の知識再確認の場やコミュニケーションの機会にもなり、職場全体のスキルアップにつながっている。

○情報共有化 ~年休取得促進のために~
【年休管理簿の見える化】
<運用方法>
・年休管理簿を共有ファイルに保存。全職員が各自のパソコンより確認できるように整備した。取得予定や取得結果を確認できるようになったことから業務予定が立てやすくなり、無駄がなくなった。
・「年5日の年次有給休暇の確実な取得」が義務付けられ、職員自身でも休暇の取得数を把握することで、計画的に5日以上取得できる環境が土台となり、取得を促すことをせずとも5日以上年次有給休暇を取得することができている。

<工夫した点>
・プライバシー保護に配慮した。
・職員自身が年次有給休暇の残日数を容易に把握できるようになった。


○取組みの効果
・無理や無駄を無くすこと、意識していなかったことを意識するようになったこと、業務に対する視点が変化したことにより、業務の質やモチベーションが向上したと感じている。社内風土が変化し、職員は今まで以上に集中して業務に当たっている。
・職員全体がスキルアップすることで、年次有給休暇を取得しやすい環境や利用者の安心感につながっている。
現状とこれまでの取組の効果
○年次有給休暇の取得状況
取組前(1人あたり)
平成29年度 平均取得率:48.6%
平成30年度 平均取得率:48.7%
平成31年度 平均取得率:51.5%

取組後(1人あたり)
平成31年度 平均取得率:51.5%
令和2年度 平均取得率:50.2%

○時間外労働の発生状況
取組前(1人あたり)
平成31年度 月平均時間外労働:1.35時間

取組後(1人あたり)
平成31年度 月平均時間外労働:1.35時間
令和2年度 月平均時間外労働:1.39時間
(R4.3)

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