社会福祉法人庄内厚生館
事例カテゴリ
- 所定外労働削減
- 年休取得促進
- 多様な正社員
- 朝型の働き方
- テレワーク
- 勤務間インターバル
- 選択的週休3日制
- ワークエンゲージメント
企業情報
企業名 |
社会福祉法人庄内厚生館
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所在地 |
大分県
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社員数 |
190名
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業種 |
医療、福祉
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取組事例
取組の目的 |
現代社会において、家庭と仕事の両立、職場内のハラスメント問題、IT化促進など、労働者を取り囲む環境には急速な変化とその対応が求められている。社会情勢の変化への対応には、労働者個人による努力では限界があり、企業側には組織が一丸となって共に支え合うといった風土づくりに加えて、時間外労働の削減や休日の充実などの従業員のQOL向上を目指した取組が求められている。そこで本取組では、ライフイベント“育児”への積極的参加への支援を通じて、従業員のQOL向上を目的とした。
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取組の概要 |
<現在の取組>
1.育児休業取得率100%に向けた取組 当法人は、児童・障がい・介護・生活困窮の4部門に亘り事業を経営している。児童部門には保育所と児童養護施設、障がい部門には障害児入所施設や障害者支援施設等、介護部門には通所介護等、生活困窮部門には無料低額宿泊事業所があり、施設内の専門スタッフが各部門を超えて連携しながら利用児者への支援、地域貢献活動を行っている。 当法人では、従来、法人理念「共歩・共笑・共育~共に歩こう・共に笑おう・共に育とう~」の実践に努めていたが、今後、さらに複雑多様化する利用者ニーズの充足や満足度向上に寄与するためにも、法人で働く従業員の満足度向上が課題としてあげられていた。近年、当法人では時間外労働の削減(2018年度月平均1.2時間)やキャリアアップ支援制度などの整備を積極的に行ってきた。しかしながら、育児休業取得に関する法人からの支援は産前産後休暇中の給与全額保証のみであり、2018年度時点で男性育児休業者は0人という現状が浮き彫りになっていた。 以上を踏まえ、2019年度は、上記の法人理念のもと、職場全体で育児休業取得者を支える職場風土づくりを目的に、育児休業取得者を法人が支援する制度等の整備や従業員への周知活動を行うこととした。 (1)従業員の生活に関する意識調査を行い、潜在するニーズを顕在化した 2019年に従業員の生活状況や潜在化されたニーズを把握することを目的に、全従業員を対象としたアンケート調査を行った。その結果、「男性が育児休業を取得できない理由」に「収入が減る(約3割)」との意見があげられた。この背景には、従業員の個々の事情に加えて、国が一定の要件を満たした育児休業者に対してお金を支給する「育児休業給付金制度」についての理解不足(約3割の従業員が「知らない」と回答)があると考えられた。以上の従業員の実情を踏まえ、組織において「育児休業取得の推進」に加えて「育児休業取得者への支援」が直近の目標に掲げられた。 (2)「育児目的休暇制度」の整備 2019年に、6週間以内に出産予定の配偶者や子どもがいる従業員、小学校就学前の始期に達する子どもがいる従業員を対象とした「育児目的休暇制度」を整備した。本制度により、年5日間の育児目的休暇(有給)を取得することが可能となり、配偶者の出産に伴う立ち合いや里帰りなどの際に合わせた柔軟な有給取得が実現した。 (3)育児休業取得者への給与支給 2019年に育児休業開始から最大90日間、賃金の13%(「育児休業給付金」を加えると、賃金の80%相当)を上限に法人から給与を支給する制度を整備した。本制度により、従業員の子育てに係る金銭的な負担軽減が実現した。 (4)育児休業取得者の所属施設の従業員へ手当を支給(「子育て休業サポート手当」の新設) 2019年に育児休業者が所属する施設の従業員(育児休業取得者と同じ部署・チーム等で働く従業員)に対して、勤務1回につき1,000円を上限とした「子育て休業サポート手当」の支給制度を新設した。本制度により、“お互い様の精神”が定着すること、育児休業取得者が少しでも気負いなく休業できる雰囲気が職場内に形成された。 (5)(1)~(4)に関する説明会実施 上記(2)~(4)の制度施行前において、従業員を対象とした制度説明会を開催した。その後、「育児休業に関するアンケート調査」を行い、従業員の「育児休業給付金」に関する理解度の変化を検証した。その結果、「育児休業給付金」に関する理解度が向上した(約9割の従業員が「知っている」と回答)ことが明らかになった。 (6)社内広報による情報共有 2018年度より、次世代育成支援及び女性活躍推進を目的とする部署として「経営企画室」を設置した。実際に夫婦で働く従業員や育児休業取得中の従業員の自宅を訪問し、生活の様子や心境などを聴取した後、社内報「LIFE」により法人全体へ共有した。本取組により、現場で働く従業員が育児休業取得者のことを理解し、将来、自身が休業した際のイメージアップにつながった。 (7)復帰プランの面談シート導入 産前産後休業者及び育児休業者が円滑な休業開始と復帰を目的とした「産育面談シート」を導入した。これにより、産前産後休業及び育児休業取得前の段階において、上長が取得希望者と面接を行い、休業開始時点での希望や休業期間中の取り決め、復帰時のサポート内容などを事前に話し合う機会を作ることができた。 (8)(2)~(4)制度導入後における効果検証 2020年1月、実際に「育児目的休暇」を取得後、育児ライフ満喫中である従業員夫婦の自宅を訪問し、インタビュー調査を行った。その結果、育児休業取得のきっかけには「会社からの後押し」が重要であること、夫の育児参加は「妻の負担軽減」に繋がること、育児目的休暇の取得率向上には「取得方法の簡易化」が必要などのコメントを得ることができた。 さらに、「子育て休業サポート手当」が支給された従業員に対して制度に関する意識調査を行ったところ、8割以上の従業員が「満足」か「非常に満足」と回答し、「取得側の気持ちも楽になる」「家庭内の考え方も変わる」などのコメントを得ることができた。 2.WLB 向上を目指した取組 「1.育休取得率100%に向けた取組」に示した通り、法人で働く従業員の満足度向上は課題であり、今後の育児休業取得者の増加や年間休日数の増加(2019年度より95日から107日へ変更)に併せて、時間外労働の削減施策推進や年次有給休暇取得日数の増加を目指した取組が求められた。 以上を踏まえ、2019年度は以下(1)~(5)の通り、業務の効率化などの働き方改革により浮いた時間を人財育成の時間に充当するといった体制の基礎づくり及び年間休日数増加後における年次有給休暇取得促進施策を行った。 (1)時間外労働のさらなる削減(業務の効率化に向けた取組) 法人内の障害者支援施設において「5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)運動」を実施した。本取組では、従業員一人ひとりが研究テーマを掲げた後、組織全体で取組むテーマに拡大するといった施設内の全従業員参加型に重点を置いた。具体的には、ホワイトボードの活用方法の検討、予定表に時間枠を記入するなどの工夫を行い、従業員間の情報共有の効率化と時間に対する意識向上を実現した。 (2)従業員満足度を高める取組 法人内の就労支援施設において、「睡眠や休日の過ごし方と満足度との関連性に関する調査」を行った。結果、従業員が自身の睡眠の状況や休日の過ごし方などを振り返る機会を得て、今後、満足度を高める方法などの検証を行うことに繋がった。また、得られた結果は、今後、2015年より毎年実施しているストレスチェック結果との関連性についても検証を行う予定である。 (3)従業員満足度(ES)調査の導入 法人内の保育所において、管理職を除いた従業員のみが話し合いを重ねて、ES調査票を作成した。ES調査実施後は、管理職へ結果をフィードバックするといった仕組みづくりを行った。結果、業務の効率化には、従業員が子ども達と離れて記録に集中できる個室の整備や個人の勤務シフトを従業員同士で共有することが重要であることが示され、時間外労働の削減施策推進に繋がった。 (4)働き方改革取組事例の共有 全施設・部署の従業員が集合し年間を通じて行ってきた働き方改革取組事例を共有する「2019年度事例研究発表会」を開催した。結果、働き方改革に向けた取組事例(上記(1)~(3)他)を共有することで、時間外労働の削減施策推進や年次有給休暇取得日数の増加の取組に繋げることが出来た。 (5)年間休日数の増加 2019年度より、フルタイム従業員の年間休日数95日を107日に変更した。また、上長が全従業員に対して年次有給休暇の取得を積極的に呼び掛ける、終業時に帰宅を促すといった関わりを継続した。その結果、年間休日数の増加後においても、前年度と同水準の時間外労働と年次有給休暇取得日数を維持することが出来た(「現状とこれまでの取組の効果」参照)。 <今後の取組> ・社内報用のサイト開設 社内情報をスマートフォンにより好きなタイミングで確認することが可能となる。ペーパーレス効果も期待できる。 ・プラチナくるみん(子育てサポート企業)認定 取得(2022年)目標 現状の時間外・休日労働数と女性及び男性の育児休業休暇取得率を維持し、プラチナくるみん認定の取得を目指す。 ・女性の体調などを考慮した職場環境づくり 今後、新築する施設において、女性専用ルーム(化粧室や個室など)を整備する。 ・従業員満足度(ES)調査の実施 保育所にて実施したES調査を基に、施設ごとに適したES調査票を作成し実施することで職場全体の従業員満足度を明らかにする。その後、従業員満足度向上に向けた取組を再検討する。 |
現状とこれまでの取組の効果 |
・育児休業取得者の取得率向上
2018年度:女性100%、男性0%⇒2019年度:女性100%、男性16.6% ・育児目的休暇取得者(2019年新設) 2019年度:男性1人 ・年間休日数の増加 2018年度:95日⇒2019年度:107日 ・年次有給休暇取得日数の増加(平均) 2018年度:9.7日⇒2019年度:10.5日 ・定時退社推進活動の維持(時間外労働の削減施策推進) 2018年度:1.2時間/月(平均)⇒2019年度:1.1時間/月(平均) ・ストレスチェック低健康リスク(全国平均100)の維持 2017年度:83⇒2018年度:77⇒2019年度:90 ・低離職率の維持 2017年度:4.5%⇒2018年度:2.6%⇒2019年度:6.5% ・おおいた女性活躍推進事業者表彰受賞(2019年度) ・くるみん(子育て支援に積極的である)認定取得(2020年度) ・ユースエール(若者の雇用に積極的である)認定取得(2020年度) |
(R2.7)