株式会社JTB

事例カテゴリ

  • 所定外労働削減
  • 年休取得促進
  • 多様な正社員
  • 朝型の働き方
  • テレワーク
  • 勤務間インターバル
  • 選択的週休3日制

企業情報

株式会社JTB
企業名
株式会社JTB
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所在地
東京都品川区
社員数
15,712名(単体)
業種
旅行業

取組事例

取組の目的
2018年4月、15のグループ会社再編と同時にカルチャー改革の取組を開始。
顧客数が減少基調にあること、同業他社との差別化、デジタル化・グローバル化等環境変化に伴う顧客ニーズの変化への対応などの経営課題がある中、意思決定をスピード化し顧客から選ばれ続ける魅力ある会社であるためには経営改革が必要であり、それには企業風土「カルチャー」を変えていくことが不可欠である。そのためには社員一人ひとりが変わる必要があり、「今までの延長線上では、今後の発展はない」という危機感を持って取り組んでいる。
カルチャー改革は「働き方改革」「評価マネジメント改革」「ダイバーシティ改革」「キャリア改革」「コミュニケーション改革」の5本柱から成る。全てに一体的に取り組むことで初めてカルチャー変革が成し遂げられるとの考えによる。
取組の概要
【現在の取組】
〇推進体制
全国172か所の支店及び部門すべてに「Smileプロジェクト委員長」を任命。各職場における具体的な活動において、リーダーシップを発揮できる委員長を中心としたボトムアップの取り組みに対し、事務局も連携してバックアップしている。
社長は、全世界からグループ企業の経営者が集まるALL JTB MEETINGで「カルチャー改革の成功なくして経営改革は成功しない」とトップの姿勢を表明、その後も社内報他経営陣からのメッセージを継続的に発信。ランチ会などにも経営層が積極的に参加し、社員に直接会社の姿勢を示している。


<働き方改革>
〇「ワークシフト2020」による既存業務の見直し
2020年までの3年間で、既存業務を可視化し無駄を減らす「ワークダイエット」、ワークフローや情報を整理して作業スピードを上げる「ワークシンプル」、デジタルツールを活用した情報の集約・共有等を行い価値を共創する「ワークスマート」を実施。毎年、社内平均値と比較できるワークシフト個別診断表を作成し、取組が遅れている分野の把握と課題解決に向けた取り組みにつなげている。

〇繁閑に応じた柔軟な労働時間管理
1か月単位の変形労働時間制により、1日当たりの所定労働時間を4時間から10時間の間で設定できることとした。店頭営業など時間の制約がある職場でも柔軟に勤務シフトを組むことができ、年間の繁閑に合わせて労働時間管理をすることができるようになった。

〇変形労働時間制を活用した朝型勤務の推進
朝型の労働パターンを活用した「朝活勉強会」の実施や、在宅勤務との組み合わせ、通勤緩和を目的とした時差出勤を推進している。柔軟な勤務シフトを活用することで、朝時間のみならず終業後の時間の有効活用にもつながっている。

〇時間や場所にとらわれない柔軟な働き方による生産性向上
「テレワークデイズ」「スムーズビズ」等のキャンペーンを大いに活用し、社員が自発的に参画するよう呼びかけるとともに、Office 365等のデジタルツールを活用し業務効率化を図った。ツールがより活用されるよう、動画マニュアルを5分から10分単位の長さに分け短い時間でも見ることができるようにする等細かな工夫を積み重ねている。
・理由や対象者を限定しないテレワークの実施
2018年、在宅勤務制度の対象者を全社員に拡大。営業先が自宅から近い場合は直行直帰、短時間勤務利用者でも在宅勤務を利用することでフルタイム勤務に切り替えやすくなるなど、時間を有効に活用できる制度として社員にも認知活用されている。
・人事部フロアのフリーアドレス化
執行役員も含めた全員(※)が対象。固定席のときは見えなかった業務上の情報や同僚の人となりが見えるようになった、会話が増えたというメリットが生じている。地域駐在の社員が来たときもオフィスに座るため、コミュニケーションが取りやすくなっている。また、パソコン端末一つで仕事ができるため、従来から推進していたペーパーレスが加速したという効果も生まれた。社員の満足度は高く、7割程度がフリーアドレス満足とのアンケート結果が出ている。
(※)個人情報を扱う社員等は除外。


<ダイバーシティ改革>
2006年の会社分割直後、グループ企業の役員のうち女性はわずか1%しかおらず、「お客様も社員も女性が多いのに役員が男性ばかりでよいのか」という問題意識をもったことが取組のきっかけとなった。取組当初は人的多様化や仕事と家庭の両立支援などの外面的アプローチが中心であったが、徐々に内面も含めたものになっている。

〇意識調査による状況把握
2010年から全社員を対象とした意識調査を実施し、客観的な状況把握を続けている。2018年はイノベーションが起こっている実感があるか、働き方改革の推進状況の実感はどうか、社員自身のモチベーションなどを主な内容としており、データ分析ソフトを活用して即座に結果を集計し現場レベルに展開、職場の課題の把握に役立てている。
結果は改善傾向ばかりでなく、例えばワーク・ライフ・バランスの推進実感は上昇しているが、残業実感は経営統合の影響もあり悪化しているなど、ブレが生じる項目もあった。

〇女性活躍に関する取組
上記意識調査で、女性は特に管理職希望が少ない傾向もみられた。理由として、能力や責任の面で自信がないと感じる割合が、女性の方がかなり多いことがわかったため、女性向けセミナーを通じて会社の期待度を伝えている。具体的には、営業職女性向け・育児休業取得者向けの「なでしこフォーラム」、男性上司の理解を促すための「イクボスセミナー」等を実施し、社内の一層の理解を進めている。
女性の育児休業復職率はほぼ100%で、短時間勤務利用者もかなり多い。会社も制度の充実によりバックアップをしっかりしているが、同時に「お互い様とお陰様」の精神が重要で、権利の主張だけでなく同僚への感謝の気持ちを持つと共に、将来は自分たちがお返しをするということ、介護を含めて誰もがその立場になり得る、ということを根気強く伝えている。


<コミュニケーション改革>
各職場から選任された「Smileプロジェクト委員長」を中心とした、取組事例や情報などを共有し合うコミュニティサイトを設置している。例えば、残業時間の見える化のため事前申告した残業時間に応じて色別のタスキをつけている支店の事例は、予定時間を超えて残業している者がいれば一目でわかるようになり、お互いの時間管理に効果的としてすぐにこの事例を取り入れた支店が出た。


【今後の取組】
これまでに把握した課題に加え今後も課題の把握を継続し、解決に向けた施策を検討・実施していく。実態を伴うものとするためには双方向のコミュニケーションが重要であり、タウンミーティング等の手法の継続を予定している。
既存の施策のほか、2019年に設置したワーケーションハワイ(※)の普及などの新しい課題にも取り組んでいくこととしている。
(※)ワーケーション:パソコンなどを使い、休暇中に旅先のサテライトオフィスで働くこと。
現状とこれまでの取組の効果
-
(R1.9)

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