コネクシオ株式会社

事例カテゴリ

  • 所定外労働削減
  • 年休取得促進
  • 多様な正社員
  • 朝型の働き方
  • テレワーク
  • 勤務間インターバル
  • 選択的週休3日制

企業情報

コネクシオ株式会社
企業名
コネクシオ株式会社
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所在地
東京都新宿区
社員数
5,070名
業種
小売業

取組事例

取組の目的
「ES(従業員満足)なくしてCS(顧客満足)なし」との考えを経営の重要なテーマに掲げ、従業員のワーク・ライフ・バランスの推進に取り組んでいる。また、合併後の従業員の一体感の醸成、モチベーションの向上を目的に労働時間やテレワークなど「働き方」、有給休暇をはじめとした「休み方」の見直しを進めている。
取組の概要
<現在の取組>
○合併を契機とした働き方・休み方の見直し
大手携帯電話販売代理店である同社は、2012(平成24)年10月に前身である伊藤忠商事系のアイ・ティー・シー・ネットワークとパナソニックテレコムの2社が合併し、誕生した。同業とはいえ、商社系とメーカー系の2社の社風や業務の進め方には異なる点も多かった。
そこで、両社の企業文化を融合して従業員の一体感を高めるとともに、各種業務手順の標準化を進め、さらには従業員のモチベーション向上を目的として「働き方」「休み方」の見直しを進めて行くこととした。

○変形労働時間制等による働き方の改善
・キャリア認定ショップ※における変形労働時間制の導入
同社では、合併を契機にショップ所属の従業員を対象に1ヶ月単位の変形労働時間制を導入した。従来は1日の所定労働時間が固定されていたため、業務の繁閑に応じた人員配置を行うにも限りがあり、来店客の少ない時間帯や時期でも多くの従業員が勤務し、結果的に過剰な人員配置となることがある一方で、繁忙期には所定労働時間の勤務だけでは多数の来店客に対応しきれず、所定外労働が続くような傾向が見られた。
このような課題に対し、変形労働時間制の導入によって、例えば多くの来店客が見込まれる土曜・日曜や新製品の発売時期は各従業員の所定労働時間を長めに設定して人員配置を厚くする一方、平日は所定労働時間を短めにして来店客の少ない午前中の人員配置を適正化するといったことが可能となった。
ショップの立地(都市型、郊外型等)や規模によって来店客の多い曜日や時間帯は大きく異なるため、1日の所定労働時間は最長で12時間、最短で4時間の設定を可能としており、ショップごとに最適な勤務シフトを組めるように配意している。
また、具体的な勤務シフトの設定は各店店長が行っているが、本社人事部は勤務シフト作成用のツールを提供し、各ショップが効果的に変形労働時間制を運用できるようにしている。
変形労働時間制の導入によって総労働時間の削減が進むとともに、所定労働時間の短い日には出勤前や退勤後の時間をプライベートに有効活用できるようになるなど、従業員からも好評を得ている。

※キャリア認定ショップ:携帯電話を販売する通信キャリアブランドのショップ

・法人営業部門におけるフレックスタイム制の導入等
2015(平成27)年から法人営業部門の従業員を対象にフレックスタイム制を導入し、後述するテレワークの導入とともに、例えば取引先との約束日時に合わせて始業・終業時刻を調整できるようにするなど、時間の有効活用に繋がっている。

○計画年休や連続休暇による休み方の改善
・計画年休の活用
2016(平成28)年度から計画年休制度を活用し、全従業員が少なくとも年2日は年次有給休暇を取得することとした。
具体的には、製造業等で採られることの多い一斉付与方式ではなく、従業員ごとに取得日を決められる個人別付与方式を採用し、ショップの円滑な運営に気を配りつつ年次有給休暇を計画的に取得できるようにしたことで、制度開始初年度から全従業員が年2日以上の年次有給休暇を取得することができた。
2017(平成29)年度からは計画年休を年3日に拡充し、取得率の更なる向上を進めている。

・特別休暇の設定と連続休暇の取得奨励
同社では特別休暇制度として、平日連続3日間の「リフレッシュ休暇」と、誕生日等の記念日に取得できる「アニバーサリー休暇」(年2日)を設けるとともに、これらの特別休暇や年次有給休暇を所定休日に繋げて、連続7日間の休暇の取得を奨励している。
この取組により、連続休暇の取得が難しいとされる小売業の店舗であっても、多くの従業員が7日間の連続休暇を取得して旅行や家族団らん、友人との交遊を楽しむなど、心身のリフレッシュを行っている。

○生産性向上等に向けた取組
・業務改善の好事例を発表、共有する「働き方改善大会」の開催
2012(平成24)年の合併による従業員規模の倍増を受け、出身母体の異なる従業員の一体感醸成や生産性向上等を目的として、2013(平成25)年から業務改善の好事例を発表する「働き方改善大会」を開催している。
この大会では、各ショップの代表者が日々の業務の中で取り組んでいる改善事例を発表し、優れた好事例については社長や役員から表彰を受ける。毎年、全国各地のショップから創意工夫をこらした多数の発表があり、好事例の全社的な共有につながるとともに、従業員のモチベーション向上にも寄与している。

・法人営業部門におけるテレワークの導入
法人営業部門の従業員を対象に、2015(平成27)年からタブレット端末を貸与し、テレワークを行えるようにした。
これにより、従来は取引先訪問後に帰社し、書類作成等の事務処理を行う必要があったケースでも、タブレット端末を活用し外出先で業務を処理することで自宅へ直帰することも可能となった。
また、管理職が外出先や出張中でも各種稟議の承認業務を行えるようになるなどの点でも生産性の向上に寄与している。

○女性の活躍推進
同社は女性従業員の割合が50%を超えており、中でもショップに所属する従業員の6割が女性である。このように従業員の多くを占める女性の活躍を推進するために、店長や管理職候補となる女性従業員を対象とした研修会を開催するなど、能力・適性のある女性従業員の発掘と育成、意欲向上に力を入れている。2017(平成29)年4月現在、店長職の女性従業員は計90名、店長職に占める女性の割合は32%まで上昇している。
さらに2016(平成28)年10月には、女性の活躍推進の状況が優良な事業主として厚生労働大臣が行う認定である「えるぼし」の最高段階(3段階目)を取得し、女性活躍に積極的に取り組む姿勢を対外的にも示している。

○仕事と育児の両立推進
・男性従業員の育児休業取得の奨励
同社では男性従業員の育児休業取得率の向上にも取り組んでおり、配偶者が出産した男性従業員とその上長に対し育児休業の取得を推奨するメールを配信したり、店長会議等で部下の育児休業の取得促進を呼びかけるなどの取組を進めている。
その結果、2013(平成25)年には21%であった男性従業員の育児休業取得率は、2016(平成28)年には72%まで上昇した。
このような取組や実績が評価され、2015(平成27)年には「イクメン企業アワード2015」特別奨励賞を、2016(平成28)年には役員が「イクボスアワード2016」特別奨励賞を受賞した(どちらも厚生労働省主催)。

・育児休業後の円滑な復職支援
また、育児休業中の従業員を対象に、会社とのつながりを持てるようSNSにて情報提供したり、復職後の働き方について意見交換を行う「オフ会」を開催するなど、出産後・育児中の女性従業員がその後円滑に復職しキャリアを再開できるような取組を進めている。
その結果、2014(平成26)年には女性従業員の育児休業後の復帰率が90%を超える水準となっている。

<今後の取組>
○更なる生産性向上に向けた取組の検討
同社ではこれまでも生産性向上に積極的に取り組んできたが、これを更に進めるべく、ショップにおける各種業務手順の見直しとAIやRPA※の活用、本社におけるフリーアドレス制の導入等について検討を進めて行く予定である。
また、ショップに所属する従業員の発案による業務改善策の試行など、ボトムアップによる生産性向上の取組も引き続き進めて行く予定である。

※RPA:ロボティクス・プロセス・オートメーション(定型的なパソコン操作等をソフトウェアのロボットにより自動化するもの)
現状とこれまでの取組の効果
・法定時間外労働時間(月平均)
2012(平成24)年:32時間47分 → 2017(平成29)年:19時間44分
・年次有給休暇取得率(年平均)
2012(平成24)年:59.0% → 2017(平成29)年:61.9%
・男性従業員の育児休業取得率
2013(平成25)年:21% → 2017(平成29)年:63%
(H30.6)

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