社会福祉法人あいの土山福祉会 エーデル土山

事例カテゴリ

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  • 選択的週休3日制

企業情報

社会福祉法人あいの土山福祉会 エーデル土山
企業名
社会福祉法人あいの土山福祉会 エーデル土山
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所在地
滋賀県甲賀市
社員数
82名
業種
医療、福祉

取組事例

取組の目的
当施設では、過去に長時間労働に対する職員やその家族からの苦情、腰痛が原因による離職などの経験がある。介護業界は離職率が高く人材確保が困難であることから、過去の経験を活かし、長時間労働・腰痛・メンタル不調の防止を図り、安心・安全な職場として職員の定着と業務へのベストパフォーマンスが発揮できる職場環境を目指す。
取組の概要
●トップメッセージ
「『至誠』~小さな安心から大きな安心へ~」を法人理念として掲げ、働きやすい職場を作るため、次の取組を法人行動として宣言しています。
「私たちの最大の資産はスタッフ一人ひとりの能力です。この有能なスタッフが活躍できるフィールド作りに邁進します。」
・各スタッフの能力を考慮し、一セクションのみならず法人全体に、その能力が生かせるような人事体制にします。
・一人のスタッフに業務上の責任や精神的な負担が過重にかからないよう法人一丸となってトラブルに対処します。
・他のスタッフの人権や個性を尊重し、互いが互いを認めあうこと、安易に人の批判をしない風土を作ります。
・法人はスタッフの資格取得を推奨します。 
・労働安全にも配慮し、有能なスタッフが長い間エーデルで働ける職場作りに努めます。

●「人材確保対策・労働室」の設置
①就業規則等諸規定の見直し、②ワーク・ライフ・バランスの強力な推進、③人材確保に関する検討(リクルートの方法、定着対策、人員レベルの確認等)、④福利厚生の充実、⑤退職理由の徹底検証 の5つの業務改善を進めるためのプロジェクトチームを設置し、スタッフの定着や魅力ある職場作りを推進している。

●「トリプルゼロ」の推進
『残業』『腰痛』『メンタル不調』の3つに対して、スタッフへの負担を完全撤廃できるよう、『トリプルゼロ』の方針を掲げ、徹底した対策を講じている。
○『残業ゼロ』の取組
①『役職者が率先してカエル』運動
・役職者が残っているとスタッフが帰りにくいため、役職者が率先して帰宅している。
②『マイナス10分』運動(一斉出勤・一斉退勤)
・職員は、出勤時刻10分前まで入館できない。
・出勤時刻3分前から5分間、館内に音楽を流し、その時間帯に着替え等を行い、出勤処理を行っている。
・定時終了前の10分前に業務終了予告を行い、全員一律で定時退勤できるようにしている。
・退勤時刻3分前から5分間、館内に音楽を流し、その時間帯に着替え等を行い、退勤処理を行っている。
③『安全衛生委員会』でのチェック
・残業の完全撤廃を安全衛生の観点からも強力に進め、どのセクションのどの職員が定時に終了していないかをチェックしている。
④『業務改善遂行室』の設置
・毎月定例で業務に「ムリ・ムラ・ムダ」がないかを検証し、業務改善を随時図っている。
【具体的な改善内容】
①朝礼の簡略化
10分以内の申し送り、15分以内のミーティングを徹底している。
②時間内の会議の開催、一斉開催の撤廃
全スタッフ参加型の会議を撤廃し、会議に必要なメンバーだけが集まり、ミーティングを行っている。また、時間を徹底的に意識できるよう、議題を事前に示している。議事録はその場で作成し、翌日には持ち越さないようにしている。
③伝達ツールの一本化
連絡帳やホワイトボード等、複数のツールを一本化し、無料のグループウェア(サイボウズライブ)を活用している。また、手書きの書面からPC入力に移行した。

○『腰痛ゼロ』の取組
①移乗用リフトの導入(合計10台(利用者対比6:1の割合))。
②浴室に吊上式リフトを設置。
③寝返り介助を体位変換のための電動自動式エアーマットを導入。
④介護、看護職員全員にチタン式腰痛ベルトやネックレスを配布。
⑤ウォーターベットや酸素カプセルを施設に設置し、休憩時間や夜勤の仮眠時間等で利用できるようにしている。
⑥定期的に腰痛チェックを行い、問題がある場合は産業医の診断を受け、ケアしている。
○『メンタル不調ゼロ』の取組
①毎月定例で15分程度、役職者が職員との『トーキング(個人面談)』を実施し、日頃の悩み相談だけでなく、指導や法人の思いを伝える場としている。
特にメンタル不調を起こしやすい新人や人事異動者、精神疾患の既往者などには、看護職員や安全・衛生管理者が面談を行い、必要に応じ産業医にも相談し、診察を受けてもらっている。
②育児や介護、看病などの各家庭状況に応じて職員の勤務形態や業務内容を柔軟に変更し、勤務継続ができるよう配慮している。
③パワハラ、セクハラ、マタハラなどが起きないよう、「モラルハラスメント防止ブック」という小冊子を作成して職員全員に配付し、防止教育を行っている。併せて、ハラスメントごとにポスターの作成及び掲示することにより、ハラスメントが起きない職場づくりに努めている。

●「働きやすい職場」「休みやすい職場」の構築
①全セクションの業務に対応できる「スーパーバイザー」の役割を担うフォロースタッフ(余剰人員)を配置している。これにより、年次有給休暇だけでなく、病気休暇や看護・介護休暇などの急な休暇にも対応できるようにしている。
②16時間(2日分)まで、1時間単位で年次有給休暇の取得が可能。
③日勤勤務は原則3日以上の連続勤務とならないようシフト設定を行っている。
また、月3日、希望休(公休日)を設定することができ、最大10日間まで翌月以降に繰り越すことができる。これにより、貯まった希望休で最大10連休の取得も可能としている。
④勤務終了後から次の勤務まで、12時間以上間を空ける『勤務間インターバル制度』を導入している。
⑤介護業務に直接関わる専門職でなくてもできる業務を細分化(①シーツ交換やタオル畳み、②食器洗いや清掃全般、③洗濯・営繕、物品修理、④利用者の見守り、⑤クリーンワーカー、運転手 等)し、障がい者や高齢者へのワークシェアを実施している。

●仕事と子育てや介護の両立支援
①当法人の育児・介護休業制度につき、妊娠~産休~育休~復職の流れを踏まえて利用が可能な制度をわかりやすく知らせている。
②「イクボス宣言」を行い、男性の育児参加を強力に推進している。
具体的には、育児休業を取得したロールモデルとなる男性職員を「イクメン(育男)」として周知することで、他の職員も育児参加をするよう推奨している。また、男女の役割分担意識を是正するため、男性スタッフを対象とした「男性家事教室」を行っている。
現状とこれまでの取組の効果
●離職率の推移
対象年度/在籍労働者数/離職者数/離職理由/離職率/全国の介護事業所の離職率(※1)
平成26年度/74人/8人/転職(1名復職)遠方への転居/10.8%/16.5%
平成27年度/77人/4人/転職、病気療養(1名復職)/5.2%/16.5%
平成28年度/78人/6人/転職(1名復職)/7.7%/16.7%
※1 資料出所:「介護労働実態調査結果」

●「トリプルゼロ」取組後の残業時間と年次有給休暇取得率の推移
対象年度/残業時間累計/従業員1人当たりの年間残業時間数/年次有給休暇取得率(年度集計)
平成26年/200時間/0.22時間/80.7%
平成27年/146時間/0.16時間/71.0%
平成28年/70.25時間/0.07時間/81.8%

○障がい者雇用率
平成29年6月1日現在:4.86%

○取組の公表や受賞した表彰
・ 滋賀県ワークライフバランス推進企業登録
・「女性が輝く先進企業2016」内閣府特命担当大臣(男女共同参画)表彰受賞
・「イクボスアワード2017」グランプリ受賞(法人事務局施設長が受賞)
(H29.12)

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