旭建設株式会社

事例カテゴリ

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  • 朝型の働き方
  • テレワーク
  • 勤務間インターバル
  • 選択的週休3日制

企業情報

旭建設株式会社
企業名
旭建設株式会社
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所在地
宮崎県
社員数
73名
業種
建設業
労働時間・休暇制度
■労働時間関連
労働時間制度:勤務時間は8時~17時。原則残業は禁止。
育児などの事情があれば、フレックスタイム制度を利用可能。
■休暇関連
年間所定休日数:122日(完全週休2日制)
時間単位での年次有給休暇の取得可能。
看護休暇介護休暇等の上限を法定以上に設定。
自分の誕生日を含めた家族の記念日での年次有給休暇取得を推奨している。

働き方・休み方改善の取組をはじめた背景や課題

1 働き方の状況

働き方改善の取組を始める以前は、就業規則は17時までとなっていても、守る意識が低く、だらだらと仕事をしている状況だった。新入社員は、先輩社員が帰るまで帰れないという雰囲気もあった。
当時は、本社社員は19時、現場社員は20時くらいまで残業をしていた。人によっては22時~23時まで働いている者もおり、平均の残業時間は月80時間程度に上っていた。
特に現場社員の残業時間が長い傾向がみられた。日中は現場管理を行い、17時以降に書類整理を行っていたため、どうしても残業時間が長くなっていた。

2 働き方に関する課題

上記のとおり、労働時間に対する意識が低く、ずるずると仕事をしている社員が多かった。

3 休み方の状況

働き方改善の取組を始める以前は、業務の管理が不十分なために、平日で仕事が終わらないため土曜日も出勤することが当たり前の状況だった。
土日出勤の振替休日をとることも難しく、年次有給休暇はもってのほか、という状況だった。休むことは悪いことである、という雰囲気があった。

4 休み方に関する課題

当時は年度末に納期が集中する傾向があり、2月3月はどうしても土日に出勤しないと仕事が終わらないという事情もあったことから、土日出勤が多くなってしまっていた。

働き方・休み方改善の取組経緯・取組内容

1 働き方休み方改善の取組経緯(きっかけ、当初の目的や計画)

建設業界全体に対するネガティブなイメージ(給与が安い、休みが取れない等)が浸透し、若手の採用が非常に厳しい状況が続いていた。
また、せっかく採用した社員が2年連続で「公務員になる」といって辞めてしまうという事態が起きた。
こうしたことから、職場の働き方を見直さなければ、若手が確保できなくなるという危機感が強まり、2005年頃より、社長主導で働き方改善の取組を進めることとなった。取組を開始したのは今から15年ほど前のことである。

2 推進体制労使間の話し合いの機会の有無

基本的には社長が方針を決め、それを受けて社員が具体的な取組を検討するという流れで取組を行っている。
社長から社員へのメッセージ発信は、年始の挨拶や朝礼のタイミングなどで実施している。
また、毎週「未来アウトプット会議」を社長含めた幹部で開催しており、その中で、今後の働き方に関する議論も行っている。

3 働き方改善に関する取組内容

まず、朝にその日の業務計画を立てて、17時には必ず仕事を終わらせることを徹底した。片付けも含め17時30分までには必ず退社するよう本社をから各事務所に電話をかけ促すなど、残業ゼロに対する徹底を行った。
社内の整理整頓ができておらず、書類を探すために無駄な時間がかかっていたため、社長自ら先頭に立ち「旭建設5S会」を立ち上げ、業務効率化を図るため徹底的に整理整頓を行った。具体的には、書類を置く場所をすべて決め、背表紙にも番号をつけた。また、現場事務所の備品については、共有場所に写真を貼り、置き場所をわかりやすく示した。こうした取組を通じて、社員の意識を変えていった。
新たに改善提案制度を創設。社内からの改善提案1件に対し500円を支給するという仕組みであるが、改善による時間短縮など様々な提案が社員よりあがるようになった。
現場での工程管理についても、CCPM(クリティカルチェーンプロジェクトマネジメント)という管理手法を導入した。積み上げの時間管理ではなく、ゴールを決めて、逆算して時間管理をするという手法。積み上げでの時間管理だと、どうしても余裕をもった設定になり、時間が長くなってしまうため、この管理手法を取り入れることで、効率的な工程管理を行うことができるようになった。
近年は、さらなる時間短縮のため、現場管理にICT技術を積極的に取り入れている。ドローンによる空撮三次元測量、スマートグラスを活用した遠隔臨場、電子野帳による書類のデジタル化、本社とのリモート会議など、大幅な時間短縮につながっている。
さらに、他社でシステムの仕事をしていた社員を2名ほど採用し、経理などの事務処理のICT化を進めている。これまでは経理処理は紙で行っており、本社から現場に郵送する時間がかかっていたが、電子請求書のシステムを今年導入したことで、時間短縮が可能となった。

4 休み方改善に関する取組内容

年次有給休暇を取得しづらいという雰囲気を変えるため、どんどん休んでもよい、ということを社長から積極的に発信した。
また、年次有給休暇を4日以上取得した者を、毎月表彰することとした。
さらに、家族の記念日での年次有給休暇取得を奨励したことで、子どもの誕生日などでも休みが取りやすくなった。
どうしても現場が忙しく、年次有給休暇がとれない社員については、現場が終わった後、まとめて休暇をとってもよいということにしている。長い人だと、10日程度連続して休暇を取得しているケースもある。

働き方・休み方改善による成果

1 働き方の現状と取組の成果

【所定外労働時間の長さの変化】
<取組前>(月平均)80時間(2005年)
<取組後>(月平均)0時間(2020年)
取組を始めて2~3年ほどで定時退社が当たり前の状況となり、直近では、残業時間はほぼ発生していない。
以前は、若手社員はなかなか帰りづらい雰囲気があったが、今は終礼が終わったら若手社員から率先して退社している。
もともと固定残業制だったこともあり、残業時間が減ることに対する社員からの不満は特に生じていない。

【部署や時季等による偏りの解消】
以前は本社と現場との間で労働時間に差がみられていたが、現在はそうした偏りは解消されている。

【生産性、メリハリのある働き方】
ゴールから逆算して一日の仕事の進め方を考えるという習慣が社員全体に身についたことで、時間の区切りをつけられるようになり、仕事の効率が上がった。
残業が減った分の時間を、社内のクラブ活動に使ったり、自身の趣味やスキルアップに使ったりして、自分の時間をうまく使えるようになることで、リフレッシュができ、さらに仕事の効率が上がる、社員間の良い人間関係に繋がるという好循環が生まれている。

2 休み方の現状と取組の成果

【年次有給休暇の取得状況の変化】
<取組前>ほぼ0日(2005年)
<取組後>15~16日(2020年)
「休みをとっても良い」という風土になったことで、取得日数は大きく改善した。

3 上記以外の働き方休み方改善による成果

取組を始める以前は、男性中心の画一的な職場で、若手社員も定着しなかったが、現在は、20代の社員や女性社員が増えている。
現時点で、現場社員40名のうち、20代が10人、30代が8人となっており、建設業界としては珍しく若手中心の年齢構成となっている。
また、2020年は女性社員が4名入社した。
若手社員が増える中で、ベテラン社員の技術を継承していきたいと考え、4年前にエイジレス就労制度を設けた。これまでは65歳が定年だったが、それを撤廃し、希望があれば何歳までも働くことができるという制度である。
ベテラン社員には、若手社員のいる現場に指導に入ってもらうことを依頼している。介護などの事情があれば、週3日の勤務でもよいなど、柔軟に対応している。

働き方・休み方の現在の課題・働き方・休み方改善に関する今後の展望

1 現在の課題

高年齢社員が増える中で、安心して長く働けるように、健康経営も並行して推進している。運動禁煙食などの啓発を行ったり、定期的な通院のための休暇取得を促進するなどしている。また、歯医者の初診料は会社で負担している。
女性社員の増加に伴って、工事現場の環境が課題となっていることから、旭女性パトロール隊を結成し、更衣室がわけられているか、トイレがきちんと清掃されているか、身だしなみはどうかといったことを確認するようにしている。

【ニューノーマルへの対応について(あれば)】
宮崎県では、コロナの感染者数はそれほど多くなかったものの、いつ職場で発生しても対応できるように、10人ずつリモートワークをする訓練を行った。
また、現場との会議はリモートで実施することとし、現場社員が本社に来なくてもよい体制を整えた。

2 今後の取組予定

若手社員の育成は、引き続き課題となっている。今いる社員は先輩の背中を見て学ぶという方法で育ってきているため、指導方法を改めて勉強してもらう必要がある。
女性活躍を推進していることから、男女とも子どもの育児に関わりながら働ける環境を整えていきたい。現在は、男性社員で率先して看護休暇を取得する社員はいないが、今後は子どものために休むことを促していきたい。あわせて、今後は子育てだけでなく介護など様々な事情を抱えて働く社員が増えると想定されるため、そうした人も働き続けられる職場にしていきたい。

(R3.3)

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