株式会社グリフィン

事例カテゴリ

  • 所定外労働削減
  • 年休取得促進
  • 多様な正社員
  • 朝型の働き方
  • テレワーク
  • 勤務間インターバル
  • 選択的週休3日制

企業情報

株式会社グリフィン
企業名
株式会社グリフィン
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所在地
東京都
社員数
201名(うち、契約社員6名)
業種
情報通信業
労働時間・休暇制度
■労働時間関連
・労働時間制度:
通常の労働時間管理制度 9時~18時(休憩1時間)
フレックスタイム制(コアタイム:10時~16時)
・顧客先に常駐の場合は、顧客先のオフィスアワーに準拠する。

■休暇関連
・年間所定休日数:約125~130日
・時間単位での年次有給休暇が取得可能。
・特別休暇として、年次有給休暇とは別に夏季休暇3日、年末年始休暇5日、アニバーサリー休暇1日を取得可能。また、10年に1度リフレッシュ休暇を5日間付与している。
・その他、慶弔時特別休暇や育児特別休暇(5日)など有。

働き方・休み方改善の取組をはじめた背景や課題

1 働き方の状況

・働き方改善に取り組む以前(2016年度以前)の月当たりの法定時間外労働は19時間程度であり、恒常的に残業が発生していた。

2 働き方に関する課題

・数ヵ月残業続きの現場もあり、働き方・休み方の両面で課題があった。

3 休み方の状況

・休み方改善に取り組む以前(2011年度以前)の年次有給休暇の取得率は年間平均6日程度であった。

4 休み方に関する課題

・休暇を取得しづらいと感じている社員がおり、特に顧客先に常駐している社員は休暇取得にあたって顧客先との調整が難しいことがあった。
・残業が続くことでより休みづらい雰囲気になることもあり、会社としても改善したいという思いを持っていた。
・その結果、より労働環境の良い企業に転職する社員がおり、離職率は一定程度あった。

働き方・休み方改善の取組経緯・取組内容

1 働き方・休み方改善の取組経緯(きっかけ、当初の目的や計画)

・2011年に有志で環境改善委員会を発足し、社員が働きやすい会社にするための取組を始めた。経営層としては、社員が働きやすい環境を整えたいという考えがあったが、現場との距離があり、社員の希望を十分に反映できていない状況にあった。そこで、「自分たちが働く環境をよりよくしたい」という思いを持った有志の社員が集まり、経営層と社員の橋渡しの役割を担うこととなった。
・初めに、全社員アンケートを実施したところ、休暇を取得しづらいと感じている社員が多いことが分かった。そのため、年次有給休暇の取得促進に向けた取組を行った。
・年次有給休暇の取得促進の取組が奏功した後、2016年頃に、働き方の改善を目標に掲げた。年次有給休暇の取得率は向上した一方で、月あたりの所定外労働時間が19時間程度であり、改善の余地があったためであった。
・このような形で、社員の声を聞きながら、その時々で課題に感じていることをひとつずつ解決する形で取組を進めていった。

2 推進体制・労使間の話し合いの機会の有無

・有志の社員で構成される環境改善委員会を中心に働き方・休み方改善を推進した。
・環境改善委員会の他、資格取得委員会や技術力向上委員会等の6つの委員会がある。
・委員長が、期首に当年度の委員会の取組内容を伝え、有志の社員がそれぞれ興味のある分野や課題に関する委員会に、任意に参加する形式をとっている。この方法をとっているため、「自分たちで働き方や会社を変えていきたい」と感じているメンバーが集まって、やらされ感なく主体的に働き方・休み方改善に取り組むことができている。
・環境改善委員会のメンバーは、若手や中堅・リーダー層まで幅広く、所属グループの偏りなく集結している。これにより、グループの垣根を超えたそれぞれの立場で横断的な意見交換をしながら取組を進めることができた。
・また、各委員会にはマネジャー層が1名、アドバイザーとして参加し、経営層・管理職との橋渡しをしたり、委員会での議論の方向性の確認をしたりしている。
・各社員が興味のある分野に希望して参加しているため活動は活発である。環境改善委員会でもメンバーから積極的に改善提案が行われた。また、複数年にわたって長期的に参加する社員も多い。
・働き方・休み方改善を進めるうえでは、色々な立場の社員から意見を聞くようにした。育児をしている人の意見だけを聞くといった形ではなく、全体から意見を聞き、公平に取組を進めるように配慮した。例えば、アンケート以外にも、社員からの意見を収集するため、意見収集用のフォーム(投書箱)を作成している。

3 働き方改善に関する取組内容

・2011年より実施している年次有給休暇取得促進の取組(詳細後述)により、休みやすい雰囲気が醸成され、社員も休暇を取得するために生産性を意識して働くようになった。これらの取組を残業削減の取組にもつなげて、2017年頃より取り組んだ。
・営業部門やマネジャーから顧客に対して説明を行い、働き方・休み方改善に取り組んでいることに理解を得つつ、繁忙期がどの程度続くか等を確認することで、過度な長時間労働につながらないようにしている。
・全社員の残業時間データを毎月見える化し、マネジャー層で業務の状況を把握するようにしている。これにより、残業がプロジェクト依存によるものか、個人依存によるものかが見えやすくなっている。個人依存で、特定の社員が長時間労働している場合は声掛けを行っている。また、成果物の納期等でやむを得ず残業が発生してしまう等、プロジェクトの進捗に左右される場合は、業務が落ち着いた時点で長期休暇を取得できるようにする等、メリハリをつけて働けるように支援している。
・一般的にIT業界の業務の性質上、メンタル面の不調に発展しやすいと言われている。社員が心身ともに健康でいられるように早期に発見・ケアしたいという目的のもと、長時間労働者に対する産業医面談は、法定よりも範囲を広げている。具体的には、月の法定時間外労働が60時間を超えた場合または45時間が2ヵ月続いた場合、産業医面談の対象となる。同時にメンタルケアカウンセラーの先生とも契約をしているため、産業医面談でカウンセリングが必要だと判断された場合は、その場でカウンセリングも受診できる体制を整えている。これにより、社員から何かしらのSOSが発信された場合は小さなことでも見逃さずに、人事異動や早期ケアを行うことができている。また、社員側も、産業医面談の対象にならないように調整して働くようにしているようである。
・数年前に「フレックスタイム制をもっと自由に利用したい」という声が挙がったため、フレックスタイム制を改めて社内周知し、活用するように声掛けをしたことで、多くの社員が使い始めた。今ではフレックスタイム制を自由に使える雰囲気になっている。
・その他、グループ会議は現場の作業が終了した定時後から開始することが多かったが、個々に調整をはかり定時内で開催するように改めた。

4 休み方改善に関する取組内容

・2011年に環境改善員会が発足してすぐに、社内アンケート結果を踏まえ、年次有給休暇の取得促進に向けた取組を行った。
・まずは年次有給休暇を積極的に取得するように委員会メンバーからの働きかけを行った。具体的には、各年度で年次有給休暇の取得率の目標値を設定したほか、飛び石連休がある場合には年次有給休暇推奨日として案内し、長期休暇が取りやすい雰囲気の醸成を行った。
・これらの声掛けをすることで「年次有給休暇を取得してよいのだ」という雰囲気になり、取組から一年で取得日数が倍増(6日程度から13日程度に増加)した。
・さらに、2012年に時間単位の年次有給休暇を導入、その後2013年にアニバーサリー休暇制度を導入し、休暇を取得しやすい環境を整えた。
・加えて、顧客先常駐の場合も休暇を取得しやすくするため、複数名体制をとることにした。環境改善委員会の発足時から、1人で常駐している場合には特に休みが取りにくいとの声があり、顧客先に常駐する場合も、複数名で常駐しチーム体制を組んで対応できるようにした。これにより、休暇取得にあたって顧客との調整がしやすくなっている。
・複数名体制はパフォーマンスや対応スピードの向上にもつながるため、営業活動においても会社のスタンスとして必ず2名以上の複数名で参画させてもらえるよう交渉のうえ受注するようにしている。結果として継続的な案件獲得、案件拡大によるメンバー増員、新規受注につながっていることも多い。
・総務部では、毎月、年次有給休暇や特別休暇の取得状況を確認している。また、前期と後期に分けて集計を行っている。グループごとの取得率、アニバーサリー休暇の取得率、個人の年次有給休暇の取得日数等の集計結果は、グループマネジャーに対して情報展開し、マネジャーから各社員に対して年次有給休暇を取得するように促している。
・年次有給休暇の年5日間取得が義務化されたことを受け、2020年度は前期に年次有給休暇を5日間取得していない社員に対して環境改善委員会から取得を奨励した。取得日数が5日に満たないと法令違反になるため、会社から時季を指定して取得させる必要があることや、自らが望む日に計画的に休みを取得することで休みの質をあげることも伝えた。
・夏季休暇は7月から9月の間に取得する事ができ、1日単位の取得も可能であるが、連続休暇を奨励している。

働き方・休み方改善による成果

1 働き方の現状と取組の成果

【所定外労働時間の長さの変化】
<取組前>(月平均)約19時間(2016年)
<取組後>(月平均)約8時間(2019年)
・長時間働くことではなく成果で評価される社風になってきた。残業時間が長い場合にはチーム体制の見直しも含めて検討し、組織的に対応にあたっている。

【部署や時季等による偏りの解消】
・時季による偏りはプロジェクトの都合上、ひっ迫した納期や急な仕様変更の対応など、やむを得ない部分がある。複数名体制をとることで負担を軽減しつつ、プロジェクトが終わった後で長期の休暇をとり、メリハリをつけられるようにしている。時季による偏りの解消は今後の課題でもある。

2 休み方の現状と取組の成果

【年次有給休暇の取得状況の変化】
<取組前>6日程度(2011年度以前)
<取組後> 取得率:76.3% 取得日数:12.6日(2019年度)
注)上記年次有給休暇とは別に、特別休暇として夏期休暇3日(取得率95%)、アニバーサリー休暇1日(取得率70%)があるが、これらは年次有給休暇取得日数には含んでいない。

・2011年度に年次有給休暇の取得促進に向けた取組を開始し、2012年度の取得日数は平均13日にまで向上した。
・その後、年次有給休暇の取得率は80%程度で推移している。また、特別休暇である夏期休暇の取得率は95%、アニバーサリー休暇の取得率も70%程度であり、休みやすい環境であるといえる。
・全社的に年次有給休暇や特別休暇の取得が進んだことで、現在では、休暇を取得しやすい職場風土が定着している。

【連続休暇の取得状況、休暇の質】
・連続休暇を取りやすくなった。夏季休暇や年末年始休暇を活用した連続休暇の取得も促しており、土日と合わせて9連休取得する社員も多い。プロジェクト終了後、次の案件参画までの期間を利用して2週間程度の長期休暇を取得する社員もいる。また、取得時期も、それぞれが取得したい時期に取得することができている。

3 上記以外の働き方・休み方改善による成果

【多様な人材の確保・定着(採用の状況、離職率の変化等)】
・応募者も、会社の働きやすさを魅力に感じているようであり、採用面への効果を感じる。また、プラチナくるみんを取得したことで、女性からの応募が非常に増えた。
・働きやすさを掲げるようになってから、離職率が大幅に低下(新卒3年目までの離職率:取組前20~25%程度→6%(新卒者49人中3人)に減少)した。様々な取組によって働きやすい職場環境になっただけでなく、職場の風通しが良くなり、自分の希望するプロジェクトを伝えやすくなったこと等も関係していると考えられる。
・環境改善委員会や投稿フォームの設置等、社員が意見を言って自分たちで働く環境を変えていける場をつくったことで、「自分の意見を言える。言ったら、会社に検討してもらえる」という雰囲気が浸透していった。また、職場で困っていることがある際はマネジャーに相談すれば対応してもらうことができ、安心感を持って働くことができている。

【その他】
・社員のモチベーションが向上した。複数名体制をとる以前は、「顧客先にいると、会社に所属している感じがしない」といった声もあったが、複数名体制にしてからは業務状況の共有等のコミュニケーションを図りながら仕事を進められるようになり、人間関係の強化や社員の帰属意識・モチベーションの向上につながった。

【働き方・休み方改善の取組で成果をあげられたポイント】
・働き方・休み方改善の取組を、まずは「休みやすい雰囲気を醸成し、休暇を取得できるようにする」、続いて「休暇を取得するために個々人が生産性を上げる工夫をする」、そのうえで「残業時間削減の取組をする」といった形で、一度に全てではなく、段階的に取り組んだことで、成果を上げやすくなった。
・その他、トップダウンだけではなく、社員全員で働き方・休み方改善の動きをつくっているところや、育児をしている人やしていない人等のさまざまな立場の人から意見を聞いたこと、取組推進にあたっては、顧客先営業担当や、現場のマネジャー層、総務部等がそれぞれの立場からフォローしたことも取組の成功につながったポイントである。

働き方・休み方の現在の課題・働き方・休み方改善に関する今後の展望

1 現在の課題

・休み方改善、働き方改善と順番に取り組んできたことが奏功した。現時点ですでにある程度の結果がでているため、次に行う施策を決め難い面もある。
・一方、時季や人による仕事の偏りや、柔軟な働き方の実現等にはまだ課題がある。
・えるぼしマークを取得できる水準にある。取得のためには一般事業主行動計画を策定する必要があるが、すでに取組が進められていることが多く、結果を出す段階となっている。女性管理職比率は業界水準より高いため、課題とはしていない。

【ニューノーマルへの対応について】
・新型コロナウイルス感染症対策として、在宅勤務の対象範囲を拡大した。以前は育児や介護に関わる社員を中心に認めていたが、現在は事由を問わず全社員が利用できる。
・総務部門については、シフトを組んで出社している。また、顧客先常駐の場合であっても、顧客が在宅勤務を認めているところが大多数であり、8割~9割程度は在宅勤務ができている。
・在宅勤務を行う社員が増えているが、お客様に成果をヒアリングしたり、チャットやWeb会議を用いて頻繁に打ち合わせを実施することで、現場勤務の社員と在宅ワークをしている社員とで偏りのない評価ができている。評価に関しては、在宅勤務であるがゆえの難しさは特にない。
・テレワークにより上長やチームメンバーと話しにくい雰囲気とならないように、現場リーダーやマネジャーから積極的にコミュニケーションをはかっている。
・新人育成は行いづらく、出社してマンツーマンで指導することもあった。ただし、現在は徐々に在宅勤務に慣れてきたこともあって、リモートで育成を行うようになってきている。
・Web会議やチャット等を活用しているが、コミュニケーションが取りづらいこと等の難しさはある。

2 今後の取組予定

・時季や人による偏りの解消や休暇の質向上に引き続き取り組む意向である。環境改善委員会でも議論が行われているところである。
・女性活躍推進や多様な働き方の推進も目指していきたいと考えている。
・新型コロナウイルス感染症を機にこれまでの在宅勤務制度をより利用しやすいよう規程変更を行った。適用範囲の拡大等を行い、より柔軟な制度となった在宅勤務の定着もテーマである。
・休み方の面では、休暇の質の向上にも取り組んでいきたい。新型コロナウイルス感染症の流行によるイベントや旅行の自粛によって休暇を取得する目的が見つからない、必要性を感じないという社員もいる。休暇の過ごし方の点で、社員が取得を望まない状況になってきたため、年次有給休暇の取得推進について改めて考えていきたい。

(R3.3)

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