働き方・休み方改革シンポジウムの概要(横浜会場)

~企業と社員が一緒に取組む「働き方・休み方改革」の可能性~

平成28年12月7日(水)、日石横浜ホールにおいて、働き方・休み方改革シンポジウムを開催しました。藤永芳樹神奈川労働局長のご挨拶を皮切りに、本シンポジウムが始まりました。

【第1部】基調講演

「働き方改革の必要性 ~なぜ長時間労働からの脱却が必要なのか~」

学習院大学経済学部特別客員教授   松原光代氏
  • まずはじめに働き方・休み方改革の必要性についてお話がありました。
    今、企業はグローバル競争下で質の高い仕事、付加価値の高い財・サービスの提供が求められており、社員が恒常的に仕事に追われている状況ではそれが困難であること、キャリア50年の時代に入り学び直しが必要となっていること、人材不足の中で女性や高齢者などの労働力に期待すること、残業を前提にした働き方をしていない人は会社や職場へのエンゲージメントが高いことなど述べられました。そして、今まで本格的に改革が進まなかった理由として、日本的な集団意識などが挙げられました。
  • 次いで、日本企業におけるマネジメントの状況、働き方改革における管理職のマネジメントの重要性、仕事以外のサポートの仕組みの重要性について述べたあと、働き方改革の一手段として、会社のイニシアティブによる連続休暇取得、半日休暇の取得促進、週2日程度の定時退社の習慣化など、具体的な対策について述べられました。

【第2部】事例紹介 働き方・休み方の改善において進んだ取組を実施している企業の事例紹介

「ワークライフマネジメント向上と在宅勤務制度推進~日産自動車の取り組み~」

日産自動車株式会社   ダイバーシティディベロップメントオフィス   室長   小林千恵氏
  • 同社では、女性の管理職登用等の女性の活躍推進、ダイバーシティ推進、働き方改革をすすめており、現在、働き方改革の一助として在宅勤務の推進に取り組んでいる。在宅勤務により、本人及びチームのアウトプットの質等を維持・向上しつつ、所定外労働と通勤時間の削減が実現し、「プライベートが充実した。その結果、気持ちに余裕を持つことができた。」など社員の声をご紹介いただきました。
  • 成果を出す在宅勤務が可能な職場環境には、「在宅できる業務の切り分け」「業務の透明性」「アウトプットに対する適切な評価」「自立した社員」「多様な働き方を認める風土」「ダイバーシティマネジメント」の6つの要素が必要であるとのこと。実際に在宅勤務を導入する際には、パイロット活動により「まずはやってみよう」という意識を醸成し、そこから収集した生の声を本格稼働に生かした、と取組について述べられました。
  • また、在宅勤務推進月間を設け、制度の推進を図っているものの、「社員全員が制度を利用すること」を目指しているのではないとのことです。社員のニーズを把握したうえで、希望する社員全員が効果的に活用できる環境づくりの推進に取り組んでいると締めくくられました。

「一流の中小企業を目指して」

拓新産業株式会社   代表取締役   藤河次宏氏
  • まず、働きやすい職場環境づくりに取り組んだきっかけは新卒採用だったと述べられました。働きやすい職場環境をつくらないと中小企業に大学新卒は来ないと考え、職場環境を変えたとのこと。実践してきたのは、①完全週休二日制、②有給休暇の完全消化、③残業ゼロ、休日出勤ゼロ。このような取り組みを継続した結果、200人以上の新卒の応募があるとのことです。年間の社員の残業時間は2時間程度で、有給休暇の完全消化のためには、休暇を取っていない人を掲示する等を経て、現在90数%の取得率となっていると語られました。
  • 残業ゼロ、有給取得率100%を目指すために十分な人員体制を確保し、徹底したコスト削減を行っているとのこと。また、顧客の要望(休日出勤等)にすべて応えない等、健全な経営を行うにあたっては常にプラス成長でなくて良いと考え、そのような経営姿勢を社員に説明・理解してもらい、社員はモチベーション高く働いてくれると語られました。

「TOTOにおけるワークライフバランスの取り組みについて」

TOTO株式会社   人財本部   人財部長   中野浩司氏
  • 同社では、生活に密着した製品を取り扱っているため,仕事と家庭を切り離すことができないという考えから,ワークライフバランスの取組を行っているとのこと。2007年度以降、労働時間の削減、有給休暇取得の促進、短時間勤務の拡充、時差勤務など様々な施策を推進し、「働きやすい環境」「働きたい会社の実現」を目指しています。また、女性の活躍推進だけでなく、男性の料理教室やパパママ休暇制度の導入など、男性の家事育児参画の取組についても述べられました。
  • また、女性の管理職登用を進めるなど女性活躍の推進活動も行っており,多様な価値観共有によって新たな価値創造、新たな商品開発につながった事例についてご紹介いただきました。

【第3部】パネルディスカッション

【ファシリテーター】
松原光代氏(学習院大学経済学部特別客員教授)
【パネリスト】
  • 小林千恵氏(日産自動車株式会社 ダイバーシティディベロップメントオフィス 室長)
  • 藤河次宏氏(拓新産業株式会社 代表取締役)
  • 中野浩司氏(TOTO株式会社 人財本部 人財部長)

会場からの各社への質問

  • パネルディスカッションでは、残業削減に向けた業界や顧客に対してのアプローチ、ノー残業デーの形骸化を防ぐための工夫等について多数の質問が出され、これらの質問を軸に議論を進めました。

業界・顧客に対する取組

  • 拓新産業株式会社の藤河氏より、まずは従業員の満足度を上げることを重視し、顧客の要望を何でも受け入れる下請け会社にならないよう、同社の働き方に関する方針を理解してくれる顧客と仕事をするように意識する必要性が指摘されました。また、社員が増えてくるとゆとりが出て来るため残業なしでも業務が行えるようになったこと、また、残業をなくそう!と社内で呼びかけを続けること等により職場環境をつくっていくことが重要とお話いただきました。
  • TOTO株式会社の中野氏より、仕事を適切に行うという前提で、各制度を利用する権利があるということ、販売パートナーとのコミュニケーションを大事にしていることを補足いただきました。

残業削減を形骸化させないための工夫

  • 日産自動車株式会社の小林氏より、残業を全くしないということではなく、8時間をいかに使うかということを徹底的に意識させていること、個々が8時間でどうやりくりするかという日々の工夫が大事であることをお話いただきました。
  • ファシリテーターより、どの業界においても繁忙期があり、事業運営を前提に、必要な残業はあることを踏まえた上で、マネジメントや経営者が調整してくことが大事であること、仕事がどれぐらいで仕上げられるかを各自が考え,達成できなかった場合は検証し、個人が意識を変えていくことで効率的に働けるようになるのではないかとお話いただきました。
  • 最後に、働き方改革には時間がかかり、継続して取り組むこと、時間は有限であることを社員に意識させることの重要性についての指摘を持って締めくくられました。