働き方・休み方改革シンポジウムの概要(大阪会場)

~企業と社員が一緒に取組む「働き方・休み方改革」の可能性~

平成28年11月9日(水)、オーバルホールにおいて、働き方・休み方改革シンポジウムを開催しました。苧谷秀信大阪労働局長のご挨拶を皮切りに、本シンポジウムが始まりました。

【第1部】基調講演

「なぜ働き方改革なのか ~生活改革との好循環が不可欠~ 」

中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)教授   佐藤博樹氏
  • まずはじめに働き方・休み方改革の必要性についてお話がありました。
  • 今、企業に求められているのは、安易に残業に頼る働き方を変えることであり、時間生産性、付加価値生産性の高い働き方は企業の競争力基盤になる、と述べられました。
  • 次いで、ワーク・ライフ・バランスが実現できる職場のあり方について、これまでは残業している社員を評価する面が見られましたが、これからは無駄な仕事の排除、仕事の優先順位付け、過剰品質の解消、仕事の効率化、能力向上が重要であると語られました。
  • このほか、「週2日定時退社」という制約を課すことによって、時間効率を高める働き方の意識を社員に持たせる取組の提案や、女性活躍推進との関係から、短時間勤務からフルタイムに早く復帰できるようにするには、フルタイムの働き方の見直しが必要とのコメントがありました。

【第2部】事例紹介 働き方・休み方の改善において進んだ取組を実施している企業の事例紹介

「「働き方・休み方改革」の成功をめざして シスコのワークスタイル変革の取組み」

シスコシステムズ合同会社 戦略ソリューション・事業開発担当   兼   東京オリンピック・パラリンピック推進本部担当   専務執行委員   鈴木和洋氏
  • はじめに、働き方・休み方改革に取り組む必要性について、デジタル化の加速化、競争環境の激変、それに対応するための俊敏な組織の必要性などから新しい働き方が求められていることが述べられました。
  • 同社の取組として、ワークスタイルイノベーションを取り巻く3つの要素として、企業風土、プロセス・制度、技術の活用が挙げられ、企業風土については、コラボレーション文化の醸成と浸透など、プロセス・制度については、ビジネスを成功に導く行動特性及びリーダーシップモデルの運用、時間で仕事をする概念からの脱却など行っています。その上、ICTを活用して、在宅オフィス仮想環境ツールなど社員に提供しています。
  • 取組の順序としては始めに企業風土、次に制度、最後にIT化など手段で、5年後の社員の年齢構成を考えた上で今から始めると締めくくられました。

「「働き方・休み方改革」は「有給休暇取得率」UPから!」

三洋化学工業株式会社   経営企画部長   冨永修氏
  • 同社の抱える課題として、休むことに対する社員間の温度差、業務が属人化しているといったことが挙げられ、もしこのままの状態で過重労働から労働災害が発生すれば「ブラック企業」というイメージによって、永年築いてきた企業ブランドが毀損してしまうという危機感があったとのこと。
  • これに対して、時には思い切った投資などによる生産性の向上、社員の属性に適合した休暇取得の工夫、休暇不在時の業務の進め方の検討など行いました。具体的には、在庫管理のIT化を通じたリードタイム削減、有給休暇取得向上と所定外労働時間削減などを実施しました。
  • 有給休暇取得促進に関して、一方的な発信ではなく、社員個人の属性をよく理解した上で余暇の過ごし方の提案や好事例の共有が大事であり、職場環境を離れて社員が自主的に考える機会を設定することが重要と言ったアドバイスで締めくくられました。

「日本特殊陶業における「働き方改革」 ~取り組み事例のご紹介~」

日本特殊陶業株式会社   経営管理本部   人事部部長   後藤達郎氏
  • 働き方改革には「会社視点」と「従業員視点」の両方の視点からの取組が必要との指摘がありました。
  • 「会社視点」からの取組は、長期経営計画として「人“財”企業」を掲げ、その実現に向けた現状の課題を明らかにしました。具体的には、ベース業務簡素化、時間を高付加価値業務へ配分、効率性を20%アップといった目標を設定し、働き方改革推進室を設けて推進しています。
  • 「従業員視点」からの取組は、労働組合の要求を基に労使間で協議を行い、社長と委員長のトップメッセージ「長時間労働の撲滅宣言」をはじめとする様々な取組を実施しました。
  • まとめとして、トップダウンとボトムアップの両面で取組む、会社視点と従業員視点の両輪で進める、熱意と創意工夫をもって失敗を恐れずに改善サイクルを回し、徹底して取り組むことが重要と締めくくられました。

【第3部】パネルディスカッション

【ファシリテーター】
佐藤博樹氏(中央大学大学院戦略経営研究科 (ビジネススクール)教授)
【パネリスト】
  • 鈴木和洋氏(スコシステムズ合同会社 戦略ソリューション・事業開発担当 兼 東京オリンピック・パラリンピック推進本部担当 専務執行委員)
  • 冨永修氏(三洋化学工業株式会社 経営企画部長)
  • 後藤達郎氏(日本特殊陶業株式会社 経営管理本部 人事部部長)

各社の取組に対する補足

  • ファシリテーターの佐藤氏から日本特殊陶業株式会社の後藤氏に対して、ミドルマネジメントの役割と育成について補足の問いかけがあり、社員の優れたところを伸ばしていくことがマネジメントの役割と考えているとの回答で、その具体的な取組について紹介がありました。
  • また、日本特殊陶業株式会社の後藤氏に対して、管理職の実労働時間の長い状況を改善するため、管理職の実労働時間の長い人に対して、その長い人の名前を業務の状況と併せて管理職全員に公表し、部署全体で対策を考えてもらっていると説明がありました。
  • 三洋化学工業株式会社の冨永氏に対しては、特定の人しか出来ない仕事について、多能工化を進めて業務上のリスクを回避し、年次有給休暇を取得しやすくする際の留意点について補足頂きました。
  • シスコシステムズ合同会社の鈴木氏に対して、在宅勤務の導入時の留意点について、対象は自己管理の出来る人で、その判断はマネージャーにまかされていることなど補足頂きました。
  • 三洋化学工業の冨永氏に対して、同社の実施している余暇の過ごし方の提案の具体的な方法について補足頂きました。同社では社員の顔が見える状況を活かして、個人の特性や家族構成、また各人の趣味などを基に、各個人のやってみようと思うことを提案して効果を挙げているとのことでした。
  • 日本特殊陶業株式会社の後藤氏に対して、管理職の有給休暇取得を進める上での工夫について、自身のリフレッシュ以外にも、他の人の成長の機会となることを説明して納得してもらっていると補足頂きました。

会場からの各社への質問

  • パネルディスカッションの後半では、質問が多数よせられました。主な質問は以下の通りです。
  • シスコシステムズ合同会社の鈴木氏には、改革の進め方の順序として、まず企業風土、次に制度、最後のITとあった、その時間的なスケジュールについて質問がありました。
  • 三洋化学工業株式会社の冨永氏に対しては、労働時間改善コンサルタントの活用のきっかけについて質問がなされました。
  • 日本特殊陶業株式会社の後藤氏に対しては、業務の簡素化や業務効率化の具体的な方法、業務の棚卸しをどこまで実施するか、女性の活躍について質問がありました。
  • このほか、全員に対して、トップをどのようにして巻き込んで行くか、その方法について質問があり、各事例発表者からそれぞれ具体的な取組について回答がなされ、締めくくられました。