働き方・休み方改革シンポジウムの概要(東京会場)

~企業と社員が一緒に取組む「働き方・休み方改革」の可能性~

平成28年10月7日(金)、東京大学構内の伊藤謝恩ホールにおいて、働き方・休み方改革シンポジウムを開催しました。古瀬陽子東京労働局雇用環境・均等部長のご挨拶を皮切りに、本シンポジウムが始まりました。

【第1部】基調講演

「なぜ働き方改革なのか ~生活改革との好循環が不可欠~ 」

中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)教授   佐藤博樹氏
  • まずはじめに働き方・休み方改革の必要性についてお話がありました。
    今、企業に求められているのは、安易に残業に頼る働き方を変えることであり、時間生産性の高い働き方は企業の競争力基盤になる、と述べられました。
  • 次いで、ワーク・ライフ・バランスが実現できる職場のあり方について、これまでは残業している社員を評価する面が見られましたが、これからは無駄な仕事の排除、仕事の優先順位付け、過剰品質の解消、仕事の効率化、能力向上が重要であると語られました。
  • このほか、「週2日定時退社」という制約を課すことによって、時間効率を高める働き方の意識を社員に持たせる取組の提案や、女性活躍推進との関係から、短時間勤務からフルタイムに早く復帰できるようにするには、フルタイムの働き方の見直しが必要とのコメントがありました。

【第2部】事例紹介 働き方・休み方の改善において進んだ取組を実施している企業の事例紹介

「働き方の改革“WLB888プロジェクト“のご紹介」

パシフィックコンサルタンツ株式会社   戦略企画統括部広報室長   油谷百百子氏
  • 同社が働き方の改革をはじめることになったきっかけは、労働組合からの要請で開催したワーク・ライフ・バランスに関する講演会だったとのこと。
  • 同社が取り組んだ理由は、社員が健康な生活を送れるようにするためというのはもちろんのこと、優秀な人材を確保しやすくなるという会社としてのメリットもありました。業界の先駆けとなる取組として開始されました。
  • 会社の本気度を示すために社内表彰の実施や評価制度の見直し、また、ノー残業デーを実質的に機能させるために時間外の電話を自動応答にするなど、さまざまな取組を行った結果、社員間のコミュニケーションが活発化した等の効果が得られたそうです。
  • 最後に、「一番大変なのはやりつづけること」であるとの発言をされたのが印象的でした。

「伊藤忠商事の働き方改革~健康力増強による人材力強化~」

伊藤忠商事株式会社   人事・総務部長兼人事考査室長   垣見俊之氏
  • 働き方・休み方改革を行う上では、その目的を会社の中で明確化することが重要、と語られました。同社では、企業の競争力に直結する仕掛けとしてこの改革を位置づけ、「最少人数で最大成果を発揮できる人材戦略」として実施しました。
  • 長時間労働削減および徹底的にメリハリある働き方に変えることと、社員の健康力増強により、一人当たりの生産性で他社を凌駕することを目指し、精勤休暇取得促進、業務効率化の促進、朝型勤務の充実、110運動徹底などを展開するとともに、健康管理体制の強化や食事・運動の支援の強化を図っているとのこと。
  • 朝型勤務制度などは導入6ヶ月後、導入2年後と時間が経過するにつれて、実施率が高まっており、また、社員の肯定的な意識も高まっていることが示されました。

「ユニリーバ・ジャパンの事例」

ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社   人事マネジャー-HRサービスデリバリー   柳原美穂氏
  • まず、フレキシブルな働き方がなぜ重要かについて、お話がありました。人は一人ひとり違うため、それぞれのポテンシャルを開花させるには働き方にも多様性を持たせる方がよいとのこと。「生産性も高まるし、本人の意欲も高まる。本人にも会社にもハッピー」と語られました。
  • 同社では、従来の在宅勤務制度(2011年~)やフレックスタイム制度(2005年~)を見直し、働く場所・時間を社員が自由に選べる「WAA」(Work from Anywhere and Anytime)という制度が2016年7月1日より導入されました。
  • 導入後3ヶ月経った評価としては、「自分で働く時間や場所を選べると思うだけでもモチベーションが上がる」等のポジティブな変化が得られたそうです。

【第3部】パネルディスカッション

【ファシリテーター】
佐藤博樹氏(中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)教授)
【パネリスト】
  • 油谷百百子氏(パシフィックコンサルタンツ株式会社 戦略企画統括部広報室長)
  • 垣見俊之氏(伊藤忠商事株式会社 人事・総務部長兼人事考査室長)
  • 柳原美穂氏(ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 人事マネジャー-HRサービスデリバリー)

トップへの働きかけについて

  • 昔から長時間労働を会社全体で課題視していた、社長自身が働き方に問題を感じていた、経営陣が多様な働き方はダイバーシティのために重要と考えているからなど、登壇企業はいずれも経営層に対して働き方・休み方改革を働きかける上で大きな障壁はなかったようです。

現場を巻き込むには

  • 会社と組合の協賛で講習会を開催し、会社と社員が一緒にプロジェクトを行う下地ができていた、労働組合を巻き込んだ等のポイントが示されました。また、会社全体ではじめるのではなく、ワーク・ライフ・バランスに前向きな部署から少しずつ取組を広げていく方が、実施のハードルが低く、浸透しやすいとの指摘がありました。

各社のメッセージ

  • ユニリーバ・ジャパン・ホールディングスの柳原氏からは、「戦略に「思い」が乗っかれば力になり、組織は変わることを実感している」との発言がありました。
  • 伊藤忠商事の垣見氏からは「何のためにこれをやるのか、社員にストーリーを持って説明する、運用をしっかりやる、これをやり続ける。それが物事を変える根底。」との発言がありました。
  • パシフィックコンサルタンツの油谷氏からは、「プロジェクトを単発で終わらせないためには、これから人生を変えることにつながるのだと、壮大なことを言った方がよい。それが、一過性に終わらないコツ。」との発言がありました。

【その他】

  • パネルディスカッション終了後、本シンポジウムを主催する株式会社三菱総合研究所より、「働き方・休み方改善ポータルサイト」の概要についての説明が行われました。