ピジョン株式会社

事例カテゴリ

  • 所定外労働削減
  • 年休取得促進
  • 多様な正社員
  • 朝型の働き方
  • テレワーク
  • 勤務間インターバル
  • 選択的週休3日制

企業情報

ピジョン株式会社
企業名
ピジョン株式会社
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所在地
東京都中央区
社員数
1,017名(単体)3,739名(グループ計)
業種
育児用品等製造業

取組事例

取組の目的
より質の高い商品を世に送り出すためには、社員が働きやすい環境にあることが必要であり、社員を大切にできなければ事業による成功もないとの考えの下、職場環境整備のための仕組みや制度の充実を図るほか、より働きやすい職場の風土作りを進めている。
取組の概要
〈現在の取組〉
○男性の育児参加と女性活躍の推進 ~育児休業取得率は男性も100%~
育児用品の分野で国内トップシェアを持つ同社では、2007(平成19)年に厚生労働大臣の「子育てサポート企業」認定である「くるみん」を取得し、従業員の育児を支援するとともに、男性従業員の育児参加も積極的に進めている。
まず、従業員やその上司の育児に対する意識の向上を図るため、子が生まれた従業員を対象に、我が子の成長や自身の育児活動などをテーマとした「育児レポート」の提出を業務として課したり、産前休暇前の従業員や育児休業中で復職前の従業員に対してそれぞれ上司も参加して話し合う制度「上司もいっしょに育児面談」を設けるなどしている。休暇前の従業員には産前産後の育児制度の概要や待機児童問題の現状など、そして復職前の従業員には復職後の業務想定や短縮勤務時間を踏まえた支援体制などについて、従業員と上司が情報を共有し、育児休業取得者の状況について上司の理解を深め、従業員が少しでも安心して休職、復職することができるような仕組みを設けている。
また、従業員が経済的な心配をすることなく育児休業を取得できるよう、2006(平成18)年から、1か月間有給で育児休業を取得することが可能な制度「ひとつきいっしょ」を設けている。育児休業の取得にあたっては、妊娠判明後早い段階で上司や同僚に相談してもらうことで、取得時期を見据えながら複数人に業務を分散させて引き継いだり、必要に応じ代替人員を配置することで、一部の従業員に負担が集中することがないように工夫している。現在では、男性従業員の配偶者の妊娠が判明した際、部署で「『ひとつきいっしょ』はいつ取るの?」といった会話がなされるなど、男性の育児休業は当然のことという雰囲気が出来上がっている。
これらの取組の結果、2016(平成28)年には、対象となった男性従業員の育児休業取得率は100%であった。
さらに、同社では女性の活躍推進にも積極的に取り組んでいる。女性従業員を対象に他社の女性管理職を招いての講演会を開催しているほか、将来の経営層を育成するための社内塾等も実施しており、上記のような男性従業員の育児に対する意識向上や両立支援制度の整備とあいまって、女性従業員の仕事に対する意欲を一層向上させるべく取組を進めている。

○所定外労働の削減 ~19時以降の残業を原則禁止~
2011(平成23)年から、全従業員・全営業日を対象として19時以降の残業を原則禁止する「19時退出ルール」を設けている。19時以降に残業する必要がある場合は、当日17時までに所属長への事前申請を義務付け、所属長もその旨を本部長に報告し、承認を得ることとするなど、組織的な管理を行っている。
これに加えて2015(平成27)年からは、毎年6月と9月を「NO残留月間」として、一部の特例を除き19時以降の残業を禁止し、「19時退出ルール」の更なる浸透を図っている。その他、毎週水曜日を「ノー残業デー」として、17時15分に一斉に退勤する取組も行っている。
これらの取組にあたっては、人事部門が全従業員のPCの稼働記録を把握するとともに、各所属長に所属従業員の当該記録を提供することとし、無申請での残業が行われることのないよう的確な勤怠管理を行っている。

○年次有給休暇の取得促進 ~取得予定日の設定と人事部門のフォローアップ~
同社では、傷病で療養する際や子の学校行事に参加する際等に使用できる「積立年休制度」(法令上の時効に達した年次有給休暇を特定の目的に使用できる休暇として残すもの)を設けていることも影響し、従来、通常の年次有給休暇の取得率は必ずしも高くなかったが、近年はこの向上にも取り組んでいる。
年次有給休暇のうち8日については、従業員ごとに取得予定日を設定させ計画的な取得を進めている。人事部門は四半期に1回、計画に基づく取得状況をフォローアップしており、業務の繁忙等により計画通りに取得できなった場合はその原因を把握するとともに代替の日を設定するようにしている。
この取組に対して、取引先の都合に合わせざるを得ないことの多い営業部門の従業員などから「計画的な取得は難しい」との声もあがったが、人事部門は一方的に取得を指示するのではなく、各従業員の事情に寄り添いながら、何をどのように改善すべきか検討するなどして取得促進に努めた。その結果、2014(平成26)年1月期には36%であった年次有給休暇の取得率は、2017(平成29)年1月期には49%まで上昇した。

<今後の取組>
○在宅勤務制度の試行
現在、小学校1年生までの子を養育する従業員、親族に要介護者がいる従業員等に限定して取得を認めている在宅勤務制度の利用要件を緩和し、管理部門の一部の従業員を対象に在宅勤務制度の試行を始めている。在宅だからこそ集中して能率良くできる業務を選択して実施するなど、試行により更なる改善に向けての情報収集を行い、より労働生産性の向上に資するような制度にしていこうとしている。

○年次有給休暇の取得率向上に向けた一層の取組
年次有給休暇の取得率については、今期(2018(平成30)年1月期)の目標を53.5%に設定し、一層の向上に取り組んでおり、計画的付与制度の活用なども視野に入れて検討を進める予定としている。
現状とこれまでの取組の効果
○所定外労働時間数(月平均)
 2014(平成26)年1月期:6.0時間 → 2017(平成29)年1月期:3.75時間

○年次有給休暇の平均取得率(年間)
 2014(平成26)年1月期:36%  → 2017(平成29)年1月期:49%

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